IDOL of IDOLS

郷ひろみ ライブアルバム『IDOL of IDOLS』：70年代後半の熱狂を凝縮した2枚組

1978年、日本の歌謡界を席巻したアイドル、郷ひろみ。彼の6枚目のライブアルバム『IDOL of IDOLS』（アイドル・オブ・アイドルズ）は、前作『Narci-rhythm』から約3ヶ月後、ライブアルバムとしては『フェニックス〜HIROMI IN BUDOKAN〜』から6ヶ月後にリリースされました。このアルバムの最大の特徴は、それまでのソロライブアルバムとは異なり、2枚組という構成をとっている点です。

収録されているのは、同年7月16日と17日に大阪フェスティバルホールで行われたライブの音源です。アルバムは大きく2つのパートに分けられています。Disc 1は「Ⅰ部」と題され、つのだ☆ひろ、芹澤廣明、惣領泰則という豪華作家陣が手がけたオリジナルミュージカル風の楽曲群が展開されます。これらは、当時の郷ひろみのステージ演出の斬新さとエンターテイメント性を示す重要な要素となっています。

一方、Disc 2は「Ⅱ部」として、『Narci-rhythm』収録の人気曲に加え、世界的にも大ヒットしていた映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のサウンドトラックからの楽曲カバーが収録されています。ビージーズの「More Than a Woman」や「How Deep Is Your Love」といったディスコ・ナンバーが、郷ひろみ独自の解釈で歌われ、当時のディスコブームを反映した華やかなサウンドを聴かせてくれます。さらに、バリー・マニロウの「Even Now」カバーも収録されており、郷ひろみの幅広い音楽性を示しています。

また、このアルバムでは、それまでのバックバンドとは異なり、The Croos Overが演奏を担当しています。これにより、サウンドに新たな息吹が吹き込まれ、より洗練された、そしてパワフルな演奏が実現しました。さらに、郷ひろみ自身の代表曲である「モナリザの秘密」「裸のビーナス」「君は特別」「よろしく哀愁」をディスコ調に大胆にアレンジしたメドレーも収録されており、郷ひろみの音楽的探究心とパフォーマンスへの情熱が感じられます。

『IDOL of IDOLS』は、単なるライブ音源集にとどまらず、70年代後半の郷ひろみの音楽性、パフォーマンス、そして当時の音楽シーンの空気感を凝縮した、極めて価値の高い作品です。オリジナルミュージカル風の楽曲、ディスコ・ナンバー、そして代表曲のディスコアレンジメドレーと、多彩な楽曲が収録されており、郷ひろみファンはもちろんのこと、70年代の音楽史に興味のある人にとっても、必聴のアルバムといえるでしょう。当時を知る世代にとっては懐かしさ、そして若い世代にとっては新鮮な驚きと感動を与えてくれる、まさに時代を超越した名盤と言えるでしょう。アルバム全体から、郷ひろみのスター性と、音楽への情熱が強く伝わってくる、魅力的な作品です。

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