IE Tab

IE Tabは、Mozilla Firefox、Flock、SeaMonkey、Google Chromeといったウェブブラウザで利用できる拡張機能です。この拡張機能の主な役割は、これらのブラウザ内でInternet Explorer（IE）のレンダリングエンジンを有効にすることです。これにより、普段利用しているブラウザから直接、Windows Updateなど、IEでしか正常に動作しないウェブページを閲覧できるようになります。IE Tabを導入することで、IEを別途起動する手間が省け、効率的なブラウジングが可能になります。

IE Tabの内部動作は、システムからIEコンポーネントを呼び出し、拡張機能の表示領域に`application/ietab`オブジェクトを埋め込むことで実現しています。このオブジェクトを通して、IEのブラウザエンジンがウェブページの表示を担当します。そのため、IE Tabで閲覧したページの履歴やキャッシュは、IEのシステムに保存される仕組みになっています。しかし、オブジェクト埋め込み方式のため、IE表示領域には一般的な拡張機能による追加効果は適用されません。この仕様から、IE TabはIEのブラウザエンジンをメインで使用するのではなく、あくまで補助的なツールとして利用するのが適しています。

また、IE TabはIEコンポーネントブラウザのように動作しますが、Windowsのシステムに依存しているため、動作環境はWindowsに限定されます。macOSやLinuxなどの環境ではインストール自体は可能ですが、IEでページを開こうとすると、未定義URLとして白い画面が表示されるだけで機能しません。

その後、Blackfish Softwareによって、オリジナルのソースコードを基にIE Tab2が開発され、Google Chromeへの移植版もリリースされました。Google Chrome版では、Firefox版とはインターフェースが異なり、IE Tabの表示領域内に専用のアドレスバーが表示されます。ユーザーはこのアドレスバーにURIを入力してページを表示します。

IE Tabの原型となったのが、IE ViewというFirefox拡張機能です。IE Viewはクロスプラットフォームで動作し、閲覧中のウェブページのURLを右クリックメニューからInternet Explorerに送り、IEでページを表示させることを目的としています。URLを送ると同時にIEが起動し、指定されたページがダイレクトに開くため、アドレスをコピーするなどの煩雑な操作が不要になります。また、特定のURLをあらかじめ登録しておけば、そのURLを開くと同時にIEにアドレスを送ることも可能です。

IE TabはこのIE Viewの機能を継承しており、URLを送るだけでなく、ブラウザエンジンをIEに切り替える機能も追加されています。IE Viewでは、URLを送るブラウザはデフォルトでIEに設定されていますが、設定を変更することで、IEコンポーネントブラウザなど任意のブラウザに変更することも可能です。さらに、IE Viewを基にして、OperaViewやSafari Viewといった拡張機能も開発されています。これらの拡張機能は、IE Viewと同様にOperaやSafariにURLを送る機能を提供しますが、独立した拡張機能として扱われるため、IE Viewとの併用も可能です。

関連事項

Flock
Internet Explorer
IEコンポーネントブラウザ
Mozilla Firefox
SeaMonkey
Trident

外部リンク

IE Tab.net（IE Tab2公式ページ）
IE Tab2 - for FireFox 3.6+
Chrome版IE Tab
mozdev.org - ietab: index（IE Tabオリジナル版開発元）
Mozilla-Add-Onsの配布元ページ
IE View - Launch pages in IE from Firefox（IE View開発元）
* mozdev.org - operaview: index（OperaView開発元）

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