ホットスワップ

ホットスワップとは、機器の主電源を切らずに部品の着脱を可能にする技術です。日本語では活線挿抜、または活性挿抜とも呼ばれます。通常、稼働中の機器内部のコンポーネントは電源に接続されており、それによって動作しています。ホットスワップ技術が導入されていない機器では、稼働中に部品を取り外すと回路が開放され、機器全体の不安定化やショートを引き起こす危険性がありました。

ホットスワップが普及する以前は、一部の機器で電源制御機構を備え、コマンドやパネル操作で部品ごとの電源をオンオフして交換することができましたが、これは機器独自の仕様であり、汎用的なものではありませんでした。そのため、ホットスワップに対応していない機器では、ハードウェアやデバイスの接続・取り外しは、必ず機器全体の電源を切断した状態で行う必要がありました。また、通電中に着脱が可能な場合でも、システム上で認識させるためには、再起動が必要となるのが一般的でした。

ホットスワップに対応することで、機器が動作している状態でもハードウェアやデバイスを接続すると、すぐに認識され使用可能な状態になります。この技術は、もともと無停止コンピュータのために開発されましたが、現在ではパーソナルコンピュータの周辺機器接続（USB、IEEE 1394など）、サーバー機のRAID構成ストレージ、PCI Expressボード、PCカードなど、幅広い分野で利用されています。

ホットスワップが正常に機能するためには、デバイス、インターフェース、BIOS、デバイスドライバ、そしてOSのすべてがホットスワップに対応している必要があります。特に、OS自体を格納しているストレージ（システムパーティション）は、通常ホットスワップに対応しておらず、無理に着脱するとOSが停止してしまいます。ホットスワップのメリットは、システムの可用性を高めることです。例えば、RAID構成のストレージでハードディスクが故障した場合、システムを停止することなく故障したハードディスクを交換し、システムを継続して稼働させることが可能です。

シリアルATA（SATA）は、ホットスワップに対応した規格の一つです。SATAでホットスワップを実現するためには、対応したインターフェース（マザーボードやインターフェースカード）、そして電源ケーブルが必要です（一部未対応品もあります）。また、OS側との連携には、サードパーティー製のソフトウェアが必要になる場合があります。ホットスワップは、システムのメンテナンスや拡張を容易にするだけでなく、ダウンタイムを最小限に抑えることで、業務の継続性にも大きく貢献する重要な技術です。

関連技術としては、ホットスワップの利便性を高めるプラグアンドプレイや、データ保護と冗長化を実現するRAID、システム全体の安定性と稼働率を意味する可用性などがあります。外部リソースとしては、ホットスワップに関する情報を提供する「HotSwap!」などのウェブサイトが存在します。

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