IMI ネゲヴ

IMI ネゲヴ（IMI Negev）

IMIネゲヴは、イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ（IMI）が設計した軽機関銃および分隊支援火器です。2005年以降、IMIの小火器部門が独立して設立されたイスラエル・ウェポン・インダストリーズ（IWI）がこの武器の販売と改良を行っています。その名はヘブライ語で「南」を意味し、イスラエルのネゲヴ地方に由来します。この名前の表記は「Negev」ともなり、ヘブライ語特有の音韻的な違いからBとVの区別は曖昧です。

歴史的背景

ネゲヴの開発に至るまで、イスラエル国防軍はFNハースタル社のMAGを主要な軽機関銃として使用していましたが、その高い重量と強い反動が問題視されていました。1980年代、中軽量且つ純国産の機関銃を求める声が高まり、IMI社には新型機関銃の開発が命じられました。試験的に他国の軽機関銃も導入されていましたが、国内開発の重要性が再認識されました。

1993年にはネゲヴの原型が試作され、実際に部隊に投入されましたが、イスラエルの厳しい環境には耐えられませんでした。その後、改良を重ね1995年から96年にかけて完成し、イスラエル国防軍に正式に採用されました。これにより、従来の歩兵用MAGとミニミ軽機関銃はほぼ全てこのネゲヴに置き換わりました。

設計と特徴

ネゲヴは、過去に購入したミニミやMAGの設計を基にしていますが、多くのオリジナル要素を追加しています。それにより、最大の特長はその多様な弾薬供給方式です。5.56x45mm NATO弾を使用し、ベルトリンク給弾に加えてガリルやM16系列のマガジンも使用可能です。特に、マガジン挿入口はガリル用に設計されていますが、アダプターを使えば他のマガジンも利用可能です。

銃のハンドリングは、アサルトライフルと共通するように設計されており、特にそのマガジン挿入口位置は独自です。これは、ゼロインを簡単に行えるセミオート射撃機能も保持しつつ、射手の快適さを重視した設計です。また、ガスレギュレーターに3つのポジションが設けられており、使用状況に応じて連射速度やガス圧を調整可能です。

さらに、照準デバイスも多様で、ドットサイトやピカティニー・レールに対応しているため、現代的な戦闘スタイルに柔軟に対応できます。これらは特に近接戦闘において優れた効果を発揮します。

バリエーション

ネゲヴにはいくつかのバリエーションが存在し、

• - ネゲヴ・スタンダード：基本形であり、全長1020mm（ストック展開時）、バレル長460mm。近代化改修により、操作性が向上しています。
• - ネゲヴ SF：特殊部隊向けにデザインされ、ストックを伸縮可能にしてコンパクトになりました。
• - ネゲヴ NG7：7.62x51mm NATO弾に対応するモデルで、射撃時の安定性が向上しています。
• - ネゲヴ NG7 SF：NG7の特殊部隊版で、アサルトライフルとしても運用可能です。

採用状況

イスラエル軍では、このネゲヴを兵器として多岐にわたり使用しています。特に歩兵部隊においては分隊支援火器としての役割を果たし、急速にMAGやミニミを置き換えました。国外でもアゼルバイジャン、カメルーン、インドなど多くの国で採用されています。

メディアでの登場

様々な作品でIMIネゲヴは登場しており、映画『スクワッド 荒野に棲む悪夢』やゲーム『Counter-Strike: Global Offensive』などでその存在が見られます。

このようにIMIネゲヴは、イスラエルの軍事技術の進歩を象徴すると同時に、現代戦における柔軟な火力支援を提供する重要な武器となっています。

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