INSTANT LOVE

BOØWY『INSTANT LOVE』

『INSTANT LOVE』（インスタント・ラブ）は、日本のロックバンドBOØWYが1983年9月25日にリリースした2枚目のオリジナル・アルバムです。前作『MORAL』から1年半ぶりのリリースであり、徳間ジャパン移籍後初のアルバムとなりました。

背景

BOØWYは、氷室狂介と布袋寅泰を中心に結成され、初期はパンク・ロック色の強い音楽性を持っていました。しかし、『MORAL』のリリース後、メンバーは音楽的な方向性の変化を模索し始めます。特に氷室と布袋は、「ラスト・パンクヒーロー」というイメージからの脱却を目指し、ライブでの衣装や演奏曲を大幅に変更。よりメロディアスでニュー・ウェイヴに近い音楽性へとシフトしていきました。

制作

本作の制作にあたり、氷室は新たな音楽性をレコード会社や事務所に提案しましたが、『MORAL』とはかけ離れた内容であったため、プロモーションが不可能であると告げられます。しかし、氷室は「プロモーションするためにレコードを出すのではない」と反論。その結果、前作のリリース元であったビクター音楽産業からはリリースを断られる事態となりました。

その後、木村マモルがプロデューサーとして参加し、ジャパン・レコードとの契約を獲得。レコーディングは、ビーイングのスタジオ「バードマン」の空き時間を使用して行われました。制作においては、前作で思うような音作りができなかった布袋が、サウンド・プロデュースを主導し、様々なアレンジを試みています。

音楽性と歌詞

『INSTANT LOVE』は、前作のパンク・ロックを基調とした音楽性から一変し、ラブソングを中心とした構成となっています。氷室は本作のテーマを「シラケ感覚」であると述べており、ストレートなロックンロールに加え、ファンク、レゲエ、ダブ、プログレなど様々な要素が取り入れられています。また、歌詞においても、「パンク」というイメージに縛られず、「今思うものを書く」ことに専念。恋愛をテーマにした歌詞が多く、氷室は「実にイージーだよね」と語っています。

リリースと評価

本作はリリース当初、音楽ランキングには全くチャートインせず、BOØWYは東芝EMIに移籍することになります。しかし、解散後の1988年に再リリースされると、オリコンアルバムチャートで最高位3位を記録。また、本作の全曲をトランスアレンジしたリミックス・アルバム『INSTANT LOVE HAMMER TRANCE』も2002年にリリースされました。

批評家からの評価は賛否両論ありましたが、BOØWYの音楽性の変化と新たな方向性を示す作品として、重要な位置を占めています。

収録曲

SIDE 1

1. INSTANT LOVE
2. MY HONEY
3. OH! MY JULLY Part II
4. FUNNY-BOY

SIDE 2

1. OH! MY JULLY Part I
2. TEENAGE EMOTION
3. LONDON GAME
4. SYMPHONIC
5. THIS MOMENT

影響

『INSTANT LOVE』は、BOØWYの音楽性を大きく転換させた作品であり、後の彼らの音楽に大きな影響を与えました。また、本作での実験的な試みは、日本のロックシーンに新たな可能性を示唆するものとなりました。

このアルバムは、BOØWYの進化の過程を捉えた、重要な作品として記憶されています。

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