IOTA (暗号通貨)

IOTA（アイオータ）とは

IOTAは、IOTA財団が主導するオープンソースのP2P型決済・データ共有ネットワークであり、暗号通貨でもあります。ビットコインなどのブロックチェーン技術とは異なり、「タングル」と呼ばれる有向非巡回グラフ（DAG）を用いて分散型台帳を実装しています。このタングル上での価値交換は、IOTAトークンを通じて行われ、データ読み書きや決済記録など、IOTAプロトコル全体を指すこともあります。

2016年7月11日にオープンベータテストが開始され、ユーザーは仲介者なしにトランザクションを発行できます。トランザクションを確定するためには、タングル上の過去のトランザクションを承認する必要があり、このシステムは中央管理者なしに運用され、スケーラビリティと手数料の問題を解決します。IOTAは、決済レイヤーとして機能し、スマートコントラクトなどの他の機能はその上に構築可能です。

起源

IOTAは、デイビッド・サンステボ、セルゲイ・イバンチェグロ、ドミニク・シーナー、セルゲイ・ポポフ博士の4名によって創設されました。彼らは、2014年にIoT向けの新しいマイクロプロセッサ開発を目指したハードウェアスタートアップを設立し、その経験から安全な決済レイヤーが必要だと認識しました。分散型台帳技術にも精通しており、セルゲイ・イバンチェグロは、2013年に世界初のプルーフ・オブ・ステークを開発しました。この経験を活かし、2015年前半にIOTAの開発が始まりました。

クラウドセールでは、IOTAトークンが100%売り出され、開発者や設立者には1枚も割り当てられませんでした。IOTAコミュニティは非営利のIOTA財団を設立し、プロジェクトを支援しました。その後も、大企業との協業やコミュニティプロジェクトへの資金提供を行っています。2017年6月には仮想通貨取引所に上場し、取引が開始されました。

設計

タングル

IOTAは、ブロックチェーンではなくDAGを使用しており、このDAGを「タングル」と呼びます。タングルはブロックもチェーンもない構造なので、ブロック時間を事前に決める必要がなく、トランザクション数が増えると速度が向上します。タングルはIOTAのトランザクションを保管する公開台帳であり、分散型で中央管理者が存在しません。各ノードにはタングルの全履歴が格納されています。トランザクションの送信者は、タングル上の他の2つのトランザクションを承認する必要があり、この非同期的なシステムにより、並列処理が可能になります。また、IOTAネットワークでは、ユーザーがトランザクションを承認することで、手数料の代わりにネットワークの維持に貢献します。タングルは三進法でプログラムされており、バイナリよりも効率的です。

スケーラビリティ

IOTAは、トランザクション数が増えるほどスループットが向上します。これは、従来のブロックチェーンのようにブロックサイズや時間を固定しないためです。また、IoTデバイス向けに特化したCPUの開発も進んでおり、将来的にはより多くのデバイスで高速なトランザクション処理が可能になります。

トランザクション手数料

IOTAにはトランザクション手数料は存在しません。ユーザーは、他の2つのトランザクションを承認することで、ネットワークのプルーフ・オブ・ワークに参加します。このプルーフ・オブ・ワークは、スパムやシビル攻撃を防ぐことを目的としており、デバイスの性能に関わらず実行可能です。この設計により、中央集権化のリスクを排除し、承認者にインセンティブを与える必要もなくなります。

供給量

IOTAの総供給量は2,779,530,283,277,761枚です。この数は三進法で最適化されており、整数のみを扱うことで、小数演算の誤差を回避しています。全てのIOTAは最初のトランザクションで生成され、分割不可能なトークンですが、供給量が多いため、マイクロペイメントに適しています。

単位

IOTAの最小単位はIOTAであり、トークン枚数が多いため、桁数に応じた表記方法が用いられます。

暗号理論

IOTAは、楕円曲線暗号ではなく、ヴィンテルニッツハッシュベース暗号を採用しています。ハッシュベース署名は高速で、署名と検証が簡略化されており、タングルプロトコルの複雑さを軽減します。量子コンピュータの攻撃に対する脆弱性も低く、IOTAのセキュリティは高いと言えます。ナンスを見つけ出すのにかかる時間が短いため、量子計算環境下でもセキュリティが脅かされる可能性は低いとされています。

出典

公式ドキュメント

外部リンク

公式サイト
プロジェクトリポジトリ

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