IPhone SE (第2世代)

iPhone SE（第2世代）の詳細解説

iPhone SE（第2世代）は、Appleが2020年4月16日に発表したスマートフォンです。これは、iPhone 11シリーズと同じ第13世代のモデルであり、iPhone SE（第1世代）とiPhone 8の後継機という位置づけで登場しました。特に、手頃な価格でありながら最新のチップを搭載している点が特徴です。

発売と概要

2020年4月17日に予約注文が開始され、4月24日にはApple Storeで、5月11日にはドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアで発売されました。発売当初は、COVID-19の影響により、一部店舗での発売が遅れるなどの影響がありました。

画面サイズは4.7インチで、iPhone 8の筐体を利用しつつ、内部にはiPhone 11シリーズと同じA13 Bionicチップが搭載されています。これにより、高音質な音声通話規格であるEVS-SWB (VoLTE)や、4G LTE-Advancedにも対応しています。これは、旧モデルの筐体をベースに最新のSoCを組み合わせるという、初代iPhone SEと同様のコンセプトに基づいています。

iPhone 11シリーズとの違い

iPhone SE（第2世代）は、iPhone 11シリーズと比較して、いくつかの点で違いがあります。具体的には、カメラがシングルレンズ（広角）であること、RAMが3GBであること、フロントカメラが7MPであること、ディスプレイがRetina HDディスプレイであること、Face IDではなくTouch ID認証であることなどが挙げられます。

歴史

発売に先立ち、2020年3月には、iPhone 8のサイズのボディにシングルカメラを搭載したiPhoneのケースが出荷されたという報道がありました。また、AppleではiPhone 8/7に対応する画面保護フィルムが販売されていたことから、「iPhone SE」または「iPhone 9」として近いうちに発売されると予想されていました。その後、2020年4月16日に正式発表され、8月にはY!mobileとUQ mobileからも発売されました。

後継機であるiPhone SE（第3世代）が2022年3月9日に発表されたことで、Apple Storeでの販売は終了しました。

仕様

ハードウェア

ストレージ容量は64GB、128GB、256GBの3種類があります。重量は148g、寸法は138.4×67.3×7.3mmで、iPhone 8とほぼ同じです。ただし、フロントガラスの表面カーブが微妙に異なり、iPhone 8用の画面保護フィルムは完全に適合しない場合があります。ディスプレイはiPhone 8と同じRetina HDディスプレイを採用し、Haptic Touchにも対応しています。なお、Appleや正規プロバイダ以外で修理した場合、警告が表示されます。

SoC

SoCには、iPhone 11シリーズと同じA13 Bionicチップが搭載されています。しかし、処理能力やメモリ（3GB）はiPhone 11シリーズより若干劣ります。AnTuTu Benchmarkの結果もiPhone 11よりも低い値を示すことがあります。

電源

iPhone 8同様にQi規格のワイヤレス充電に対応し、USB-PDによる最大18Wの急速充電も可能です。30分で約50%の充電が可能です。

通信

4G LTE-Advancedに対応しており、ソフトバンクでは受信最大500Mbps、送信最大46Mbpsです。その他、3G、2Gにも対応しており、NFC、FeliCa、エクスプレスカード機能も搭載しています。SIMスロットはnano-SIMで、Wi-Fi 6、eSIMによるデュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)にも対応しています。

その他

IEC規格60529のIP67等級の防塵・耐水性能を持ち、水深1メートルで最大30分間利用可能です。ただし、イヤホンジャックは省略されています。一部のパーツはiPhone 8と共通です。

カメラ性能

iPhone 11シリーズと同じ12MPのリアカメラを搭載し、4K/60fpsのビデオ撮影が可能です。パノラマ撮影やバーストモードにも対応しています。前面カメラは7MPで、ポートレートモードも利用可能です。ただし、HDR撮影やナイトモードには非対応です。

詳細なスペックは以下の通りです。

iSightカメラ
12MP広角カメラ
ƒ/1.8絞り値
最大5倍デジタルズーム
ポートレートモードとポートレートライティング
光学式手ぶれ補正
4K/60fpsビデオ撮影
QuickTakeビデオ

FaceTimeカメラ
7MPカメラ
ƒ/2.2絞り値
ポートレートモードとポートレートライティング
1080p/30fpsビデオ撮影
Retina Flash

ソフトウェア

iOS 13.5.1がプリインストールされており、Apple Payにも対応しています。

デザイン

アルミフレームを採用したデザインで、外観はiPhone 8とほぼ同じですが、Appleのロゴが中央に移動し、「iPhone」の表記がなくなりました。カラーはホワイト、ブラック、(PRODUCT)REDの3色で、ホワイトモデルでも前面はブラックです。側面は丸みを帯びたデザインに変更され、Touch ID付きホームボタンが搭載されています。

iPhone 8や7用のケースと一部互換性があります。

第1世代との比較

初代iPhone SEと比較して、防塵・耐水性能、画面サイズが4.0インチから4.7インチへの拡大、SoCがA9チップからA13 Bionicチップへの進化、LAA対応LTE Advanced、Wi-Fi 6、eSIM対応などが変更点です。CPUは最大2.4倍、GPUは最大4倍高速化し、モバイルデータ通信とWi-Fi接続も高速化しています。

Taptic Engineの搭載により、触覚フィードバックが追加され、Apple Payの利用が可能になりました。また、ワイヤレス充電やUSB-C - Lightningケーブルによる急速充電にも対応しています。

同梱物

発売当初はEarPods、Lightning - USBケーブル、5W USB電源アダプタが同梱されていましたが、2020年10月以降はUSB-C - Lightningケーブルのみが同梱されています。18W電源アダプタやLightning - 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタは同梱されていません。

COVID-19による影響

COVID-19の感染拡大により、一部キャリアでの発売が延期されたり、Apple Storeが一時休業したりするなどの影響がありました。また、Appleは(PRODUCT)REDモデルの収益の一部をCOVID-19対策基金に寄付しました。

まとめ

iPhone SE（第2世代）は、コンパクトなサイズでありながら高性能なA13チップを搭載し、手頃な価格で最新の技術を体験できるスマートフォンとして、幅広いユーザーから支持を得ました。旧モデルの筐体を使用することでコストを抑えつつ、最新のSoCやカメラを搭載するというAppleの戦略が反映されたモデルと言えるでしょう。

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