VoLTE

VoLTE（ボルテ）とは

VoLTE（Voice over LTE）は、携帯電話の音声通話をLTE（Long Term Evolution）ネットワーク上で実現する技術です。従来の携帯電話の音声通話は回線交換方式を使用していましたが、VoLTEでは音声データをIPパケットとして扱い、データ通信と同じようにLTEネットワーク上で送受信します。これにより、従来の通話品質を向上させ、より効率的なネットワーク利用を可能にします。

VoLTEの仕組み

LTEネットワークは、高速なデータ通信に特化して設計されており、従来の回線交換方式での音声通話には適していません。そこで、VoLTEでは、IP電話（VoIP）と同様に音声データをデータパケットとして扱います。これにより、LTEネットワーク上で音声通話やビデオ通話が可能になります。

VoLTEは、GSMA（GSM Association）によって標準化が進められており、IPマルチメディアサブシステム（IMS）を利用して音声通話を実現します。従来のVoIPと比較して、VoLTEではQoS（Quality of Service）保証による優先制御が行われるため、遅延が少なく安定した通話が可能です。また、広帯域な音声コーデックを採用することで、よりクリアで高品質な音声通話を実現しています。

VoLTEの特徴

VoLTEには、以下のような特徴があります。

音声サービスのデータフロー化: 音声サービス（コントロールプレーン、メディアプレーン）をLTEデータベアラ内でデータフローとして転送できます。これにより、従来の回線交換網に依存する必要がなくなります。
データ容量の効率化: 3G UMTSの3倍以上、2G GSMの6倍以上のデータ容量を持ち、VoLTEパケットのヘッダが通常のVoIP/LTEのヘッダよりも小さいため、帯域幅を有効活用できます。
高音質コーデックの採用: 新しいコーデック（AMR-WB、EVS）の採用により、音声品質が向上します。特にEVSコーデックは、より高音質な通話を可能にします。
通話中の高速データ通信: VoLTEを利用することで、通話中でも高速なLTEデータ通信が可能です。
相互接続: 携帯電話事業者を跨いだ高音質通話には、事業者間のIP回線上での相互接続が必要ですが、順次実現が進められています。

日本でのサービス

日本では、2014年からNTTドコモ、KDDI（au）、ソフトバンクがVoLTEサービスを開始しました。各社ともVoLTEの読み方として「ボルテ」を使用しています。

当初はAMR-WBコーデックのみに対応していましたが、NTTドコモとソフトバンクはさらに高音質なEVSコーデックにも対応したVoLTE（HD+）を提供しています。auはVoLTE専用のネットワークを構築し、CDMA2000からVoLTEへの移行を進めています。

ソフトバンクでは、当初緊急通報（110番など）は3G回線に切り替えて発信していましたが、2017年2月までにVoLTEのまま発信するように改善されました。

事業者間の高音質通話は、IP回線やSIPを処理できる交換機の開発を経て、2018年10月のNTTドコモとソフトバンク間の相互接続を皮切りに順次進められています。

また、NTT東西地域会社の公衆交換電話網も2024年1月からIP方式による相互接続を開始しています。

VoLTEの今後の展望

VoLTEは、今後の携帯電話ネットワークにおいて重要な役割を担う技術です。5Gネットワークの普及に伴い、VoNR（Voice over New Radio）のような新しい音声通話技術も登場していますが、VoLTEは依然として多くのユーザーにとって重要な技術であり続けるでしょう。

VoLTEは、音声通話の品質向上だけでなく、ネットワーク資源の効率的な利用にも貢献します。今後もVoLTEの技術は進化し、より高品質で安定した音声通話体験を提供することが期待されます。

参考情報

VoLTE - IT用語辞典 e-Words
KDDI田中社長インタビュー：VoLTEはオールLTEですでに「Ready」、社員に6500台の試験機、ドブ板VoLTEテスト - Engadget 日本版
『ドコモで始まるVoLTEってなに? それってメリットあるの?』 - ASCII.jp
VoLTE／VoLTE（HD+） - NTTドコモ
au VoLTE（ボルテ） - au
VoLTE/VoLTE（HD+） - ソフトバンク
Enhanced Voice Services Codec for LTE（英語） - 3GPP

もう一度検索