ISHI (松山千春のアルバム)

松山千春の音楽活動において、1989年11月28日に発表されたアルバム『ISHI』（いし）は、彼のキャリアにおける19作目のオリジナル・アルバムとして位置づけられています。

このアルバムがリリースされた当時、音楽メディアはLPレコードからCDへの移行期にありました。『ISHI』は、その時代の変化に対応する形で、CDとLPの両方の形態で同日に発売されました。これにより、新旧それぞれのメディアを好む多様なリスナー層にアルバムを届けることが可能となりました。

リリースから数年を経て、1993年には日本コロムビアから企画された「松山千春オリジナル・アルバム・コレクション」シリーズの一つとして、Vol.15というナンバリングで再リリースされています。この再リリースによって、リリース当時にアルバムを聴けなかった新たなファンや、再び手に入れたいというリスナーにとって、入手しやすい機会が提供されました。

本作のサウンドを支えるため、当時の日本の音楽シーンで活躍する錚々たるミュージシャンたちがレコーディングに参加しています。リズム隊では、ドラムを島村英二氏、岡本郭男氏、長谷部徹氏が楽曲に合わせて担当し、それぞれ異なるテイストのリズムワークを提供しています。ベースは、多くのアーティストの作品に参加している美久月千晴氏と長岡道夫氏が担当し、安定感のある土台を築き上げています。ギターパートでは、エレキギターを松原正樹氏と高村周作氏が担当。また、長年松山千春のサウンドを支え続けているアコースティックギタリスト、笛吹利明氏も参加しており、彼の温かみのあるギターサウンドがアルバム全体に深みを与えています。

鍵盤楽器には、中西康晴氏、大石学氏、エルトン永田氏、飛澤宏元氏がクレジットされています。彼らはピアノやシンセサイザーなどを使い分け、楽曲のメロディやアンサンブルに豊かな色彩を加えています。さらに、ストリングスにはKATOH JOE GROUPが参加し、楽曲に奥行きや情感を加える役割を果たしています。サックス奏者としては、平原まこと氏と土岐英史氏が参加しており、彼らの表現力豊かな演奏が楽曲にスリリングなアクセントをもたらしています。コーラスには、比山貴咏史氏、木戸泰弘氏、広谷順子氏という実力派のコーラス陣が参加し、松山千春のボーカルを力強く、あるいは繊細にサポートしています。

これらの多くの優れた演奏家たちの参加は、ミュージシャンコーディネーターである高村裕氏（MUSIC LAND所属）の手配によって実現しました。一流のミュージシャンが集結したことで、『ISHI』はサウンドプロダクションにおいても非常に質の高い作品となっています。

アルバムの具体的な収録曲目はここに記載されていませんが、これらの参加ミュージシャンの顔ぶれからも、当時の松山千春が追求していた音楽的な方向性や、サウンドに対するこだわりがうかがえます。『ISHI』は、1980年代後半の松山千春の活動を代表するアルバムの一つであり、彼の作品群の中でも重要な位置を占める一枚として、現在も多くのファンに聴き継がれています。

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