ISO 13407

ISO 13407とは

ISO 13407は、国際標準化機構（ISO）によって1999年に制定された、インタラクティブシステムにおける人間中心設計プロセスに関する国際規格です。正式名称は「Ergonomics - Human-centered design processes for interactive systems」であり、日本語では「人間工学 - インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス」としてJIS Z8530にも翻訳されています。

この規格は、製品やシステムがユーザーにとって使いやすく、効率的かつ満足のいくものであることを保証するために、人間工学的な原則に基づいた設計プロセスを規定しています。特に、ユーザーのニーズや要求を設計プロセスの中心に据えることで、ユーザーエクスペリエンス（UX）の向上を目指す点が特徴です。

ISO 13407の主な目的

ISO 13407の主な目的は、インタラクティブシステムの開発において、以下の点を実現することです。

ユーザーのニーズを明確に理解し、設計に反映させる。
ユーザーがシステムを効果的に、効率的に、そして満足のいく形で使用できるようにする。
設計プロセス全体を通して、ユーザーのフィードバックを収集し、改善に役立てる。
人間工学的な原則に基づいた設計を促進する。

ISO 13407の改訂とISO 9241-210への統合

ユーザビリティ関連規格の改定作業に伴い、ISO 13407はISO 9241シリーズに統合され、ISO 9241-210:2010として2010年に改訂されました。この改訂により、ISO 13407の概念は、より広範な人間工学およびユーザビリティ規格の一部として取り扱われるようになりました。

ISO 9241-210は、人間中心設計プロセスに関するより詳細なガイダンスを提供しており、ISO 13407の原則をさらに発展させたものと考えることができます。この統合により、インタラクティブシステムの設計者は、より包括的かつ体系的なアプローチを用いて、ユーザーのニーズを満たす製品やシステムを開発することが可能になりました。

ISO 13407の重要性

ISO 13407は、インタラクティブシステムを設計する上で非常に重要な規格です。その重要性は、以下の点に集約されます。

ユーザーエクスペリエンスの向上：ユーザー中心の設計により、製品やシステムがより使いやすくなり、ユーザーの満足度が向上します。
開発コストの削減：ユーザーのニーズを早期に理解し、設計に反映させることで、開発段階での手戻りを減らし、コストを削減できます。
製品の品質向上：人間工学的な原則に基づいた設計により、製品の品質が向上し、競争力を高めることができます。
国際的な標準化：ISO規格であるため、国際的に通用する設計基準を確立できます。

ISO 13407を学ぶための資料

ISO 13407の理解を深めるために、関連書籍として以下のものが挙げられます。

* 黒須正明、堀部保弘、平沢尚毅、三樹弘之著『ISO13407がわかる本』オーム社、2001年12月、ISBN 978-4274024641

この書籍は、ISO 13407の基本的な概念から具体的な設計プロセスまでを分かりやすく解説しており、実務に役立つ知識を得ることができます。

まとめ

ISO 13407は、インタラクティブシステムの人間中心設計における重要な国際規格であり、ISO 9241-210に統合された現在でも、その原則は広く活用されています。ユーザーエクスペリエンスの向上、開発コストの削減、製品の品質向上に不可欠なこの規格を理解し、実践することは、今日の製品開発において重要な課題です。

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