ISO 22000

ISO 22000: 食品安全マネジメントシステムの国際規格

ISO 22000とは、食品の安全性を確保するための国際的な基準であり、「食品安全マネジメントシステム－フードチェーンに関わる組織に対する要求事項」として定義されています。この規格は、HACCP（危害分析重要管理点）システムの手法を活用し、ISO 9001（品質マネジメントシステム）を基盤とする管理システムを構築するために必要な条件を提示しています。

発行の経緯

ISO 22000は、国際標準化機構（ISO）のTC34委員会WG8によって策定され、2005年9月に正式な国際規格として発行されました。その後、同年11月にはこの規格の適用に関するガイドラインであるISO 22004も発行され、更なる利用の容易性に寄与しました。2018年には改訂版が登場し、より現代のニーズに合わせた内容に進化しました。

また、ISO 22003は認定機関が審査登録機関を認定する際の要件を示したもので、2007年2月に発行されています。この規格に基づき、財団法人日本適合性認定協会（JAB）がその年の5月より審査登録機関の認定申請を開始し、2008年1月には最初の認定が行われました。最初に認定された機関には日本品質保証機構と日本ガス機器検査協会の2団体があります。

ISO 22000は国内認定機関だけでなく、オランダのRvAやイギリスのUKAS、オーストラリアとニュージーランドのJAS-ANZといった国外の認定機関からも審査が行われており、それによって、日本国内でもさまざまな国の基準に基づいた認証を受けることができます。認定の効力には国内外で差異はありません。

ISO 22000の特徴

ISO 22000は、従来のHACCP系の認証に比べて、その対象範囲が広がっています。農業や漁業などの一次産品から、小売業、製造・加工に使用される機器、さらには輸送に至るまで、フードチェーン全体に関与するすべての組織が認証の対象となります。この広範な適用範囲により、食品の生産や流通、販売に至るまでの各段階での安全性が強化されます。

ISO 22000は、食品の安全性を確保するためのシステムであり、HACCP Systemと同様の目的を果たしつつ、ISO 9001:2000のように「品質」との関連性は明確に区別されています。これは、ISO 22000が品質マネジメントシステムの認定であり、単なる製品の安全性にとどまらず、組織の全体的な管理を考慮しているためです。この観点から、企業は単に食品を安全に供給するだけでなく、そのプロセス全体を見直し、強化することが求められます。

結論

ISO 22000は、食品安全を確保するための国際的基準であり、フードチェーン全体の組織に対して求められる要求を規定しています。この規格に基づいた認証を取得することにより、企業は自社の食品安全管理システムを効果的に構築し、消費者に対してより高い信頼性を提供することができるのです。これにより、安全で高品質な食品を提供する社会の実現に寄与することが期待されます。

一般財団法人日本規格協会

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