ISO 31-5

ISO 31-5は、国際標準化機構（ISO）が定めた国際規格の一部であり、電気と磁気（電磁気学）に関する量とその単位について規定していました。この規格は、科学技術分野における単位の統一化を目的としたISO 31シリーズの一部として策定されました。

具体的には、電界強度、磁束密度、インダクタンスなどの電磁気学の基本的な量を定義し、それぞれの量に対応する単位（例えば、ボルト、アンペア、テスラなど）を規定していました。これにより、国際的な技術文書や研究論文において、単位の誤解や混乱を避けることが可能となり、科学技術分野における国際的な協力と情報交換を円滑に進める上で重要な役割を果たしていました。

しかし、技術の進歩に伴い、より詳細で包括的な規格が必要となり、2008年に国際電気標準会議（IEC）が発行したIEC 80000-6によってISO 31-5は置き換えられることになりました。IEC 80000-6は、より広範な範囲をカバーし、最新の科学技術の進歩を反映した規格となっています。この結果、ISO 31-5は廃止され、その役割はIEC 80000-6に引き継がれることとなりました。IECもまた、IEC 60027で電磁気学に関する量や単位について定めています。

日本においては、ISO 31-5に対応する規格として、日本工業規格（JIS）のJIS Z 8202-5:2000が制定されていました。JIS Z 8202-5は、ISO 31-5の規定を踏襲し、日本国内における電磁気学の量と単位の基準として用いられていました。しかし、国際的な規格の変更を受けて、日本でも対応が必要となり、2014年にISO 80000-5に相当するJIS Z 8000-5:2014が発行されました。これにより、JIS Z 8202-5:2000は廃止され、日本国内の規格も国際規格との整合性が図られることとなりました。この更新は、国際的な研究開発や技術交流を促進する上で、重要な意義を持ちます。

このように、ISO 31-5は、かつて電磁気学の分野における国際的な単位統一に貢献した重要な規格でしたが、より包括的なIEC 80000-6の登場により、その役割を終えました。しかし、その影響は大きく、その概念や枠組みは、後継の規格にも引き継がれています。そして、現在では、より新しい規格が国際的な基準として採用されています。

また、JIS Z 8202-5は、ISO 31-5を踏襲して策定されていたという経緯があります。このことからも、ISO 31-5が、国際的な規格として、各国の規格に大きな影響を与えていたことがわかります。

ISO 31-5、IEC 80000-6、JIS Z 8202-5、JIS Z 8000-5と、規格の移り変わりを見ていくと、国際的な単位の標準化の歴史と、技術の進歩に合わせて規格が進化していく様子が理解できます。

もう一度検索