ISO/IEC 11801

ISO/IEC 11801: 構内配線システムの国際規格

ISO/IEC 11801は、ビルや工場などの構内における汎用的な電気通信配線システムに関する国際規格です。ツイストペアケーブルと光ファイバーケーブルの両方を対象に、それぞれの配線クラスを詳細に規定しています。この規格は、様々な通信インフラの構築において、信頼性と互換性を確保するための重要な役割を果たしています。

規格の改訂履歴

ISO/IEC 11801は、1995年の初版発行以来、継続的に改訂を重ねてきました。主な改訂版は以下の通りです。

1995年: 第1版 (ISO/IEC 11801:1995)
2000年: 第1版, 改訂1 (ISO/IEC 11801:2000)
2002年: 第2版 (ISO/IEC 11801:2002)
2008年: 第2版, 改訂1 (ISO/IEC 11801:2008)
2010年: 第2版, 改訂2 (ISO/IEC 11801:2010)
2017年: 統合版 (ISO/IEC 11801:2017)
2018年: 修正1 (/COR1:2018)
2021年: 改訂1 (Part 3のみ) (/AMD1:2021)

2017年版では、商用、家庭用、産業用ネットワーク、そしてデータセンター関連の従来規格を統合し、6つのセクションで構成される包括的な規格となっています。これにより、一般的な配線システムから高度な分散型ネットワークまで、幅広い要件に対応できるようになりました。

適用範囲

ISO/IEC 11801の適用範囲は非常に広範です。アナログ電話回線やISDN電話、様々なデータ通信規格、建物の制御システム、ファクトリーオートメーションなど、多様な用途に適用可能です。単一の建物内だけでなく、複数の建物からなる構内ネットワークにも対応できるよう設計されています。

規格では、構内面積1km²以下、配線長3km以下、収容人数50人～5万人といった規模を目安として最適化されていますが、これらを超える規模のシステムにも適用可能です。

配線クラス

この規格では、ツイストペアケーブルと光ファイバーケーブルそれぞれの配線クラスを定義しています。

ツイストペアケーブル

ツイストペアケーブルについては、クラスA、B、C、D、E、EA、F、FA、I、IIの10クラスが規定されています。クラスが上がるにつれて最大周波数が高くなり、伝送性能が向上します。すべてのクラスで特性インピーダンスは100Ωと規定されています。以前は120Ωと150Ωも許容されていましたが、2002年版で削除されました。

光ファイバーケーブル

光ファイバーケーブルについては、短距離用のマルチモードファイバーと長距離用のシングルモードファイバーのそれぞれにクラスが定義されています。

マルチモードファイバー: OM1、OM2、OM3、OM4、OM5
シングルモードファイバー: OS1、OS1a、OS2

関連規格

ISO/IEC 11801は、他の関連規格と連携して使用されます。例えば、EN 50173 (European standard) やTIA/EIA-568-Bなどが挙げられます。また、日本のJIS規格にもJIS X5150として翻訳・制定されています。

まとめ

ISO/IEC 11801は、現代の構内ネットワークインフラを支える重要な国際規格です。その幅広い適用範囲と継続的な改訂により、常に最新の技術に対応し、信頼性の高い通信環境を実現することに貢献しています。今後も、技術の進歩に合わせて、さらに改訂が続けられることが予想されます。

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