IZY (列車)

IZY（イージー）について

IZY（イージー）は、2016年4月からパリとブリュッセル間を運行している、廉価版の国際高速列車サービスです。フランス語で「簡単」を意味する「easy」をもじって名付けられました。このサービスは、既存の高速列車TGVから独立した子会社であるタリス・アンテルナシオナルによって運営されています。

概要

IZYは、フランス国鉄が運営する国内線LCCのOuigoをモデルに、国際線での低価格サービスを目指して導入されました。高速バスやライドシェアリングサービスの市場拡大に対抗するため、タリス社はフランス国鉄からTGV車両をリースし、専用編成を運行しています。これにより、両都市間を1日に最大3往復することができます。IZYの導入により、タリス社は乗客数を10%増加させると予測しています。

サービスの特徴

IZYのサービスは、LCC（格安航空会社）を参考にしています。以下に主なサービス内容をまとめました。

予約方法: 専用ウェブサイトまたはアプリでのみ予約可能です。既存のタリスの窓口や予約サイトとは連携していません。券売機も設置されていません。
乗車券: 乗車券は出発時刻の1時間前までに購入する必要があります。購入後、Eメールで送付されるeチケットを印刷するか、スマホアプリでQRコードを表示して提示します。
手荷物: 無料で持ち込める手荷物は、35cm×55cm×25cm・32kg以内のものと、27cm×36cm×15cm・10kg以内の小型バッグの2個までです。これを超える場合は、別途料金が発生します。
所要時間: パリとブリュッセル間の所要時間は2時間8分から30分です。タリスの定期列車よりも時間がかかるのは、パリ-アラス間で在来線を経由しているためです。これにより、線路使用料を削減しています。
運営: LCCと同様に、少ない人数で運行・接客を行い、人件費を抑えています。
改札: 出発時刻の30分前から開始し、10分前に締め切られます。
座席: スタンダードクラスとスタンダードXLクラスの2つのクラスがあります。スタンダードXLクラスには座席ごとの電源がありますが、スタンダードクラスでは2席で1つのタップを共有します。
その他: 車内Wi-Fi、車内バーの営業、電話やEメールでのカスタマーサービス、車内販売はありません。座席指定もできません。

運賃と追加料金

事前予約: 2ヶ月前から予約可能で、19ユーロから（タリスは41～52ユーロ）。
当日運賃: 59ユーロ（タリスは99ユーロ）。
小児運賃: 12歳未満の小児は10ユーロ。
補助席: 折りたたみ式の補助席は15ユーロ（25席限定）。
着席保証なし: 着席保証なしの席は10ユーロ（10席限定。空席があれば乗務員の案内で着席可能）。
スタンダードXLクラス: 基本運賃に10ユーロ追加で、合計29ユーロから（当日は69ユーロ）。
超過手荷物料金: オンライン購入は10ユーロ/個、駅での購入は30ユーロ/個
SMS案内: 運行案内などは別途1人2ユーロ
ペット同伴: 55×30×30cm以内のゲージであれば、事前予約で15ユーロ、当日は35ユーロ。
鉄道パス: 各国の鉄道パスは利用できません。

変更と払い戻し

変更・キャンセル: 自己都合による変更やキャンセルはできません。
遅延: 列車遅延の場合は、返金ではなく次回予約時に利用できるバウチャーが支給されます。
60分以上120分未満の遅延：半額相当額のバウチャー
120分以上の遅延：全額相当額のバウチャー
ストライキ: ストライキによる運休の場合は、後発列車の手配または払い戻しとなります。

運行区間

IZYは、パリ北駅とブリュッセル南駅の間を運行しています。フランス国内では在来線を、ベルギーでは高速新線HSL1を経由します。これにより、既存の列車と同じく市街地へのアクセスが便利です。1日2～3往復（週16往復）で運行しています。

車両

IZYでは、TGVレゾの2編成（4521・4551）が使用されています。車両は白を基調とし、IZYのロゴが描かれています。また、2019年からはユーロスターで使用されていたTGV TMST（クラス373、編成番号3213、3224）も投入されています。

歴史

2016年3月1日：タリス社が4月3日に運行開始を発表。
2016年4月3日：運行開始。