Il-18 (航空機・初代)

イリューシン Il-18について

イリューシン Il-18（Ilyushin Il-18）は、ソビエト連邦のイリューシン設計局が第二次世界大戦直後に開発した4発旅客機です。この航空機は、アエロフロート航空が求める長距離航路向けの高性能な旅客機として企画されましたが、最終的にはエンジンの信頼性の問題により開発が中止されました。

開発の背景

イリューシン Il-18は、主に高高度および長距離のフライト能力を求めた航路用に設計されていました。当初は、イリューシン Il-12に使用されたCharomskii ACh-32ディーゼルエンジンを4基搭載する計画でした。しかし、能力向上のために、後にシュベツォフ ASh-73TK星型エンジンへの変更が行われました。これにより、機体のプロペラは4枚ブレードのAV-16NM-95可変ピッチ型に改良され、暖房装置も搭載されることとなりました。

機体は片持ち式の低翼単葉設計で、頑丈な降着装置を備えています。これにより、整地された滑走路だけでなく、不整地からの離着陸も可能とされました。内部には貨物および手荷物を収納するスペースが設けられ、66席から27床の寝台まで多様な座席配置が計画されていました。

初飛行と運用

Il-18の初飛行は1946年8月18日に実施されましたが、ターボ・スーパーチャージャーの不在により、本格的なテストは1947年まで行われませんでした。また、ASh-73TKエンジンのオーバーホール間隔が短いため、信頼性を問われる結果となり、製造過程における課題は多く見受けられました。客室の快適性は当時の他の旅客機に比べて優れており、またエンジン故障時でも飛行を続けられるほどの余裕がありました。

ただし、ASh-73TKエンジンの確保が難しく、その信頼性の低さから、Il-18は1948年にキャンセルされました。これにより、この機体は商業路線への展開を果たすことなく、航空機としての運命を閉じることとなります。

試作機のその後

試作機は1947年にツシノで行われた航空ショーでの展示飛行を行い、後には重量級のグライダーを曳航する能力を持つ機体として、イリューシン Il-32のテストにも使用されました。試作機は1950年代初期まで飛行していたものの、その後の運命は不明です。

要目

• - 乗員: 6名
• - 積載量: 60名
• - 全長: 29.86 m
• - 全幅: 41.20 m
• - 空虚重量: 28,490 kg
• - 全備重量: 42,500 kg
• - エンジン: 4 × シュベツォフ ASh-73TK星型エンジン
• - 最大速度: 565 km/h
• - 巡航速度: 450 km/h
• - 航続距離: 6,200 km
• - 巡航高度: 10,700 m

結論

イリューシン Il-18は、当時の航空機技術を駆使して開発されたものの、エンジンの供給問題が開発の中止へと繋がりました。この航空機が持つ特性は、今でも多くの航空ファンにとって記憶に残るものであり、ソ連の航空技術の一端を担った重要な機体であると言えます。

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