Il-38 (航空機)

2024年9月23日には、本機が北海道礼文島北方の領空を3回侵犯した事例が報告され、自衛隊の戦闘機が無線での警告やフレアによる警告を行ったという事件も発生しています。

設計

Il-38の設計は、Il-18旅客機に基づいており、胴体は真円断面を維持していますが、主翼は重心位置の変化に応じて前方に取り付けられています。機体の後端には、マルチモード・アクティブ・ディテクタ（MAD）用のブームが設置され、機首の下にはマッシュルーム型のレドームが装備されています。また、機体の各所には電子戦機器や生存性を向上させるためのアンテナが配置されています。

武装は対潜ホーミング魚雷や爆雷、機雷などがあり、主翼の兵装ベイにはソノブイを収納できるほか、Kh-35（NATOコードネーム AS-20 カヤック）空対艦ミサイルも搭載可能です。

型式と改良型

• - Il-38: 標準型
• - Il-38SD: インド海軍向けの改良型で、機首上にノヴェッラ海上探知システム複合体が搭載されており、高解像度の熱映像システムなどを含む多彩なセンサーで空中や水上、水中の目標を探知できます。操作には2人のオペレーターが必要です。
• - Il-38N: 現在最新の改良型で、Il-38SD同様の探知システムを搭載し、さらに機体は濃灰色の迷彩で塗装されています。

運用国

• - ロシア: ソ連からの引き継いだ機体をロシア海軍が運用
• - インド: インド海軍に5機が配備され、2016年までにIl-38SDに近代化改修されています。

保存機

ウクライナの航空技術博物館には、1機のIl-38が屋外展示されています。

性能諸元

• - 全長: 39.60 m
• - 全幅: 37.42 m
• - 全高: 10.16 m
• - 主翼面積: 140 m²
• - 自重: 33,700 kg
• - 全備重量: 63,500 kg
• - 発動機: イフチェンコAI-20Mターボプロップエンジン（4,250 shp）×4
• - 最大速度: 650 km/h
• - 航続距離: 9,500 km
• - 実用上昇限度: 10,000 m
• - 乗員: 7-8名
• - 武装: 爆雷、魚雷（最大9,000 kg）、Kh-35空対艦ミサイル
• - レーダー: ウエットアイ水上捜索レーダー、ベルクート洋上捜索レーダー

このように、Il-38は高度な哨戒能力を持ち、既存の対潜哨戒機と比較しても十分な性能を誇ります。

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