Informix Dynamic Server

Informix Dynamic Server (IDS) について

Informix Dynamic Server (IDS) は、IBMが提供するオブジェクト関係データベース管理システム (ORDBMS) です。元々はInformix Software社の製品でしたが、2001年にIBMに買収され、現在はIBMのソフトウェア部門の製品として展開されています。IBMはIDSを戦略データサーバーと位置づけ、DB2との技術共通化を進めています。

IDSのエディション

IDSには、用途や規模に応じた複数のエディションがあります。

Informix Dynamic Server Enterprise Edition (IDS-EE)
全て機能を備えた最上位エディションで、中規模から大規模システム向けに設計されています。
単一プロセッサから数百プロセッサまで対応し、UNIX、Linux、Windows環境で動作します。
大量のオンライントランザクション処理 (OLTP) 、高速なトランザクション応答、24時間365日の可用性、リモート管理機能などを提供します。
Enterprise Replication (ER) が利用できる唯一のエディションです。
バージョン11からリモートセカンダリサーバ (RSS) 機能が追加されました。

Informix Dynamic Server Workgroup Edition (IDS-WGE)
部門やワークグループ、中規模システム向けのエディションです。
高い信頼性と可用性を確保しつつ、データベース管理業務の負荷を軽減することを目指しています。
High-availability Replication (HDR) による複製機能が利用可能です。
OLTPに必要な多くの機能を提供し、ER機能は限定的に利用可能です。
最大4CPU、8GBの主記憶装置まで利用可能です。

Informix Dynamic Server Express Edition (IDS-Express)
中小規模企業向けの低価格エディションです。
LinuxまたはWindowsの32bit x86 CPUでのみ稼動します。
HDRやERの複製機能は提供されません。
最大2CPU、4GBの主記憶装置まで利用可能です。
アプリケーションの変更なしに上位エディションへのアップグレードが可能です。

Informix Dynamic Server Developer Edition (IDS-DE)
IDSによるデータベース開発を目的としたエディションで、無償で利用できます。
サポートは提供されず、本番環境での利用はできません。


これらのエディションは、プロセッサ数、ユーザー数、同時接続セッション数に基づいた価格体系で提供されます。

歴史

IDSの歴史は、1980年にRoger SipplとLaura Kingが設立したRelational Database Systems（RDS、後のInformix Software）に遡ります。

1981年: RDSはInformix（INFORMation on unIX）をリリース。独自の言語Informerや、レポート作成サブシステムACE、画面入力フォーム作成ツールPERFORMを搭載。
1985年: SQLベースのクエリエンジンINFORMIX-SQL（ISQL）が登場。データベースアクセスコードとクライアントコードが分離されたことで、クライアント・サーバ型のデータベースシステムの基礎が築かれました。
1986年: RDSはInformix Softwareに社名変更。INFORMIX-SQLとINFORMIX-4GLをリリース。データベースエンジンと開発ツールが統合されました。
その後: 新たなクエリエンジンを使ったINFORMIX-Turbo（後にINFORMIX-OnLineと改称）が登場。オンラインバックアップ機能や分散トランザクション機能が追加されました。
1994年: シークエント・コンピュータとの協業で、動的スケーラブルアーキテクチャ（DSA）を搭載したバージョン6.00をリリース。垂直および水平の並行性をサポートし、SMP環境での性能が向上しました。
1994年: 現在のIDSとなるバージョン7がリリース。当時の競合製品を凌駕する性能を発揮し、業界2位のシェアを獲得しました。
その後: 中核設計を2段階にしたバージョン8（XMP, XPS）がリリース。XPSはデータウェアハウスやクラスター環境をターゲットとしました。
1995年: オブジェクト関係データベース管理システム（ORDBMS）に着目し、Illustraを買収。DataBladesにより、データ型を拡張する機能が追加されました。これにより時系列データやマルチメディアデータを扱う際の課題が解決されました。
1996年: バージョン8（XPS）とバージョン9（IUS）をリリース。三大データベース企業の中でいち早くORDBMSをサポートしました。
2001年: IBMがInformix Softwareを買収。
2005年: Informix Dynamic Server (IDS) バージョン10をリリース。
2007年: Informix Dynamic Server (IDS) バージョン11をリリース。
その後: 継続的なバージョンアップが行われています。

IBMにおけるIDSの戦略

IBMは、Informix Dynamic Server (IDS) を戦略データサーバーと位置づけ、DB2との技術共通化を進めています。

関連情報

関連項目
DB2
solidDB
外部リンク
* Informix V12.10 資料 - IBM

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