InternetFAX

InternetFAXの概要と仕組み

InternetFAXとは、ファクシミリデータをパケット化し、IPネットワークを利用して送受信する技術です。FoIP（Fax over IP）とも呼ばれ、従来の電話回線を使わない新しい伝送方法として注目されています。そのため、インターネットや内部ネットワークを介してのファクシミリの送信が可能となり、業務効率の向上が期待されています。

開発背景

1995年頃から、狭帯域のパケット通信を用いて音声データをリアルタイムで伝送するVoIP技術が注目されるようになります。それに続いて、静止画像を送信するためのFAX規格が提案され、2000年以降はブロードバンド環境の普及と共に、ISDNに似たIP電話サービスが利用されるようになりました。その中で、モデムを音声データとして扱うInband FAXという方式も普及しました。

方式の違い

InternetFAXとVoIPの異なる点について考えると、主に、網構成と伝送方法に着目できます。VoIPゲートウェイを利用し、音声パケットとしてファクシミリを中継する従来の電話網に対し、InternetFAXは、より柔軟性のあるデータ通信を実現します。

VoIPゲートウェイを利用する方式

1. FAX装置 → VoIPゲートウェイ → IP → VoIPゲートウェイ → FAX装置
この方式は、電話網からのFAX信号を音声パケットに変換し、中継するシステムです。

InternetFAXゲートウェイの利用

2. FAX装置 → InternetFAXゲートウェイ → IP → InternetFAXゲートウェイ → FAX装置
こちらは、専用のInternetFAXゲートウェイを介してFAX信号をパケット化し、中継します。これにより、さまざまな業務用途に対応した柔軟な通信が可能となります。

3. FAX装置 → InternetFAXゲートウェイ → IP → メールサーバ → 電子メールとして受信
この方式では、FAXを電子メールの形式で受信するアプリケーションサービスプロバイダ（ASP）に対応しています。

蓄積交換方式

InternetFAXでは、ファクシミリデータを電子メールの添付ファイルに変換し、SMTPを用いて送信する方法も採用されています。この場合、待機時間が生じる可能性もあるが、PCやその他の情報機器で利用しやすいという利点があります。

特徴と利点

InternetFAXの大きな特徴は、法定要件に基づく各種機能を持つことです。特に、PDF形式での送付や送達確認機能、時間指定送信機能などの高度な仕様が可能です。これにより、従来のFAXに比べて業務の柔軟さが増し、利便性の向上が期待できます。

特に、狭帯域環境でも鮮明なデータを送受信可能であり、同時に多くの機能を網側で管理できることが利点として挙げられています。また、従来のFAX端末に依存することなく、任意の端末で運用できるフレキシビリティが魅力です。

注意点

一方で、InternetFAXを利用する上では通信における遅延や信号の損失が問題となることがあります。特にInternetFAXはIPネットワークを用いているため、ネットワークの状態によっては伝送時間が長くなることも考えられます。そのため、運用時には適切なネットワーク調整やモニタリングが欠かせません。

InternetFAX専用機器

InternetFAXに特化した専用機器も存在し、これにはIP回線に接続されたFAX装置が含まれます。業務用複合機の付加機能としても利用が可能で、ダイレクトSMTP機能による発着信が実現されます。

総合的に見ると、InternetFAXは今後ますます普及が期待される技術であり、特にビジネスシーンでの活用が進むと考えられます。

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