Irシステム

Irシステムとは

Irシステムとは、赤外線（Infrared）を利用して、主にテレビが録画機器を制御するためのシステムです。デジタル放送が始まった頃、デジタルチューナーを搭載したテレビから、アナログチューナーのみ搭載の録画機器を制御するために利用されました。

Irシステムの仕組み

デジタルチューナー内蔵のテレビに装備されたIrシステム端子に、専用のIrシステムケーブル（赤外線送信機）を接続します。このケーブルの送信部を録画機器のリモコン受光部付近に設置することで、テレビ側から録画機器の操作を代行できるようになります。

具体的には、テレビの電子番組ガイド（EPG）から録画したい番組を選択すると、テレビが赤外線信号を送信し、録画機器がその信号を受信して録画を開始します。これにより、デジタルチューナー非搭載の録画機器でも、デジタル放送の録画が可能になります。ただし、画質はアナログ放送並みのSD画質となります。

従来システムとの違い

従来のVTRシステムやAVコンピュリンクとの大きな違いは、テレビ側から録画信号を赤外線リモコン信号に変換して録画機に送信する点です。従来のシステムでは、録画機側でGコードやフリーセット予約が必要でしたが、Irシステムではテレビ側のGガイドから瞬時に録画予約が可能です。

メーカーによっては、Irシステムに独自の名称をつけていました。例えば、ソニーは「AVマウス」、東芝は「ビデオナビ」と呼んでいました。

パナソニックのシアターバーにおけるIrシステム

パナソニックは、Irシステム端子を搭載したホームシアターシステム（シアターバー）を発売していました。ただし、このシアターバーのIrシステム端子は、録画機能とは異なる役割を持っていました。

シアターバーをビエラの前に設置した場合、シアターバー本体がビエラのリモコン受信部を遮ってしまうことがあります。そのため、シアターバーは、ビエラのリモコン信号を受信し、Irシステムケーブル経由でビエラ本体に転送する機能を備えていました。これにより、シアターバーがリモコン操作の邪魔になるのを防いでいました。ただし、この機能はパナソニック製のテレビとの組み合わせでのみ使用可能でした。

近年の動向と衰退

近年では、より高画質・高音質で、接続・操作も簡単なHDMI連動（ビエラリンクなど）が普及したため、Irシステムの需要は低下しています。2010年以降に製造された薄型テレビでは、Irシステム端子が廃止されるようになりました。

BDレコーダーにおいても、アナログAV入力端子が上位モデルにしか搭載されなくなり、2013年以降製造のモデルではアナログAV出力端子も廃止されました。これにより、従来型のアナログテレビ受像機で外付けデジタルチューナーとして利用することができなくなりました。

かつてはスカパーチューナーもIrシステムを搭載していましたが、現在では非搭載となっています。

まとめ

Irシステムは、デジタル放送黎明期にアナログ録画機を活かすための技術として重要な役割を果たしました。しかし、HDMIの普及により、その役割を終え、姿を消しつつあります。

関連項目

地上デジタル放送
日本の地上デジタルテレビ放送
ビエラリンク
薄型テレビ
BDレコーダー・DVDレコーダー
パナソニックのVTRの歴史
パナソニックのテレビブランドの変遷

外部リンク

Irシステム（接続）とは何ですか？ - panasonic

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