J-8II (航空機)

J-8II（歼撃八型II）

J-8II（殲撃八型II、英: Jian-8II、NATOコードネーム: Finback-B）は、中華人民共和国で設計・開発された戦闘機であり、F-8IIという名称でも知られています。この機体は、J-8の発展型で、当初は性能において問題があったJ-8を改良し、文化大革命の終了後の1982年に開発が開始されました。

構造とデザイン

J-8IIは、瀋陽の第601航空機設計所によってデザインされ、製造は瀋陽航空廠（現在の瀋陽飛機工業集団）によって行われました。基本的にはMig-21を双発エンジン配置にしたもので、特に機首部分の設計が改良されています。空気取入口は機体側面に移動させ、ノーズコーンはアビオニクスの搭載を考慮して大型化されました。これにより、外観は大きく変化していませんが、印象は明らかに異なっています。

1970年代後半にエジプトから提供されたMiG-23が参考にされた可能性も指摘されています。当初のJ-8IIには性能不足のレーダーが搭載されていましたが、アメリカとの協力により、F-16Aと同型のAN/APG-66|AN_APG-66へ換装される計画がありました。しかし、天安門事件の影響でその計画は頓挫しました。これを受けて、J-8Bという国産レーダーを搭載したモデルや、空中給油機から受油可能なJ-8Dが開発されました。この段階でも、他国の第四世代戦闘機と比べると有視界外戦闘能力には劣っていました。

進化と派生型

1996年には輸出モデルのF-8IIMが発表され、ロシア製のジューク-8-IIレーダーを搭載してR-27中距離空対空ミサイルやKh-31対艦ミサイルを運用する能力がありました。しかし、実際の顧客は得られず、その経験を基にJ-8HおよびJ-8Fの改良型が開発されました。これらの機体では新型のレーダーやエンジンが搭載され、より高い戦闘能力を持つようになりました。J-8Hは精密誘導爆弾や対レーダーミサイルの運用能力を得ており、J-8Fではさらに発展した仕様でグラスコックピットが採用されています。これにより、J-8Fは依然として運用が続けられています。

特に2012年時点でも生産が継続されており、一部機体は偵察機型に改造されています。また、2022年には航空団が航空旅団に格上げされ、J-16に改編されるなど、波乱の歴史を持つ機体です。

知名度と事件

2001年には、海南島事件でアメリカ空軍のEP-3Eと衝突した機体がこのJ-8II（J-8D）であり、報道においてはしばしばF-8IIからIIを省略し、単に「F-8」として取り上げられることがありました。このため、日本のメディアではアメリカ製のF-8戦闘機の3D画像が流れるなど、混乱が生じる事態も見られました。

スペック（J-8D）

• - 翼幅: 9.3m
• - 全長: 21.6m
• - 全高: 5.4m
• - 空虚重量: 9,820kg
• - 最大離陸重量: 17,800kg
• - エンジン: WP-13A2ターボジェットエンジン
• - 推力: アフターバーナー未使用で8,600kg/s
• - 最高速度: マッハ2.2（2,340km/h）
• - 最大上昇力: 12,000m/min
• - 乗員: 1名
• - 戦闘行動半径: 800km
• - 巡航速度: 800mph / 1,300km/h

J-8II（J-8D）の開発は、中国における航空機技術の進化を示すものであり、様々な改良を重ねた結果、現代においても重要な役割を果たし続けています。

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