JDスタージュニア王座

かつて日本の女子プロレス界において異彩を放った団体、JDスター女子プロレス。その管理・認定の下に存在したタイトルの一つが、このJDスタージュニア王座である。この王座は、団体の黎明期における若手育成という重要な目的を担って創設されたタイトルであり、その歴史は短いものであったが、当時のJDスターにおける階層構造の一端を示していた。

王座の起源は1997年に遡る。この年、JDスターの前身である吉本女子プロレスJd'は、プロキャリアが3年以下の若手選手に限定した新たなタイトルとして、「Jd'ジュニア王座」を創設することを決定した。これは、将来団体を背負って立つ才能を発掘し、育成するための明確な意図を持って設けられた枠組みであったと言える。若手選手にとって、この王座は自身の立ち位置を確立し、上位タイトルへの足がかりとするための重要な目標となった。

初代王者を決定するための戦いは、リーグ戦形式で争われた。激戦が繰り広げられたこのリーグ戦を制し、記念すべき初代Jd'ジュニア王座のベルトを腰に巻いたのは、藪下めぐみであった。1997年9月7日に東京で開催された大会での出来事である。藪下は初代王者として、このジュニア王座の価値を高める役割を担った。

その後、団体名が吉本女子プロレスJd'からJDスター女子プロレスへと変更される流れの中で、管理するタイトルも名称変更の時期を迎える。2003年7月5日、Jd'ジュニア王座は正式に「JDスタージュニア王座」と改称された。名称は変われど、その基本的な性格、すなわち若手選手の活躍の場であるという位置づけに大きな変更はなかったものと見られる。

しかし、JDスタージュニア王座としての歴史は、長く続くことはなかった。改称からわずか数ヶ月後の2003年10月16日、当時のこの王座の保持者であったMARU選手がタイトルを返上するという事態が発生する。通常、王座が返上された際には、次の王者を決定するためのトーナメントや決定戦が行われるが、JDスタージュニア王座に関しては、MARU選手の返上以降、後継王座を巡る新たな動きは一切見られなかった。結果として、この王座は事実上、その活動を停止した形となり、そのまま時が流れていったのである。新たな王者が認定されないまま、タイトルは自然消滅に近い形で歴史の舞台から姿を消した。

このように、JDスタージュニア王座（およびその前身であるJd'ジュニア王座）は、1997年の創設から2003年の事実上の封印まで、わずか6年余りの短命なタイトルであった。しかし、この短い期間において、プロキャリアの浅い選手たちにタイトル挑戦という明確な目標を与え、彼女たちの成長を促すための登竜門としての役割を果たしたことは間違いない。藪下めぐみやMARUといった選手がこの王座を巡って戦い、その名を刻んだことは、JDスターという団体の歴史の中に確かに存在した一時期を示す証左と言えるだろう。歴代王者に関する具体的なリストは存在するものの、新たな王者が生まれることのないまま、JDスタージュニア王座はプロレス史の一頁にその名を留めている。若手選手の育成という重要な目的を担ったタイトルであったが、その志半ばで終焉を迎えたタイトルであった。

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