JPエクスプレス

JPエクスプレス株式会社とは

JPエクスプレス株式会社（JPEX）は、2008年に設立された日本の宅配便会社です。日本郵便（当時：郵便事業株式会社）と日本通運（日通）の宅配便事業を統合する目的で設立されましたが、2010年に解散しました。この短命に終わった企業について、その設立から解散までの経緯、事業内容、そして経営統合の失敗について詳しく見ていきましょう。

設立の背景

2008年6月、日本郵便と日通は、それぞれの宅配便事業を統合し、より効率的なサービスを提供することを目指しました。この統合の受け皿として設立されたのがJPエクスプレスです。当初は、日本郵便の「ゆうパック」ブランドでの事業開始を予定していましたが、両社のシステム統合に手間取ったため、日通の「ペリカン便」の受け皿として事業を開始しました。

事業の開始と混乱

2009年 4月1日、JPエクスプレスはペリカン便の事業を引き継ぎ、サービスを開始しました。しかし、当初予定していたゆうパックとの統合は遅延し、2009年 10月1日に改めて統合を目指しましたが、総務大臣の認可が得られず、再び見送られました。その後、日本郵便はJPエクスプレスを清算し、宅配便事業を自社で引き継ぐことを決定しました。

サービス内容

JPエクスプレスは、ペリカン便のサービスをベースに、集荷・配達業務を行っていました。一部地域では、日本郵便や日通に委託する形で業務が行われていました。また、時間帯指定やセキュリティサービスなど、顧客のニーズに応じたサービスも提供していました。

サービスの特徴

集荷・配達: JPEXが主体となりつつも、一部は日通や郵便事業に委託。
時間帯指定: ゆうパックとは異なる時間帯幅。
運賃: 新たに設定された運賃体系。
サイズ体系: 「160」サイズを新設。
同一宛先割引: ゆうパック同様の割引を導入。
セキュリティサービス: 書留ゆうパックに相当するサービスを提供。
転送: 転居の場合に限り、1年間対応。
荷物追跡: JPエクスプレスのウェブサイトで可能。

冷蔵・冷凍宅配便

セイノーグループの「カンガルーチルド便」の配達業務も受託しており、集荷はセイノーグループが行い、JPEXが配達を担当していました。

組織体制

JPエクスプレスの役員は、日本郵便と日本通運から派遣されていました。しかし、事業譲渡に伴い、役員はそれぞれの企業に戻り、日本郵便出身の別の役員が会長に就任しました。コールセンターの電話番号は、日本郵便に引き継がれました。

経営統合の失敗

JPエクスプレスの設立は、日本郵便と日本通運の宅配便事業統合を目指したものでしたが、計画段階での見通しの甘さや、両社のシステムの違いが大きな障壁となりました。統合計画は二転三転し、最終的には日本郵便がJPエクスプレスを清算し、宅配便事業を自社で引き継ぐことになりました。

統合の遅延と混乱

システム統合の遅延: ゆうパックとペリカン便のシステム統合が難航。
総務省の認可遅れ: ゆうパック統合の申請が再三却下。
経営陣の対立: 日本郵政と総務省の対立も影響。
事業収支の悪化: 景気悪化で荷動きが低迷し、過剰設備による赤字が拡大。

会社清算

2010年 7月1日、JPエクスプレスは事業を日本郵便に譲渡し、ペリカン便のブランドは廃止されました。JPエクスプレスは、その後、解散・清算され、その累積赤字は1185億円に達しました。

その後の影響

JPエクスプレスの解散は、日本の宅配便業界再編の象徴的な出来事となりました。また、日本郵便はJPエクスプレスの事業を引き継ぎ、「ゆうパック」のサービスを強化することになりました。

まとめ

JPエクスプレスは、宅配便事業の統合という壮大な目標を掲げたものの、経営統合の失敗により、短期間でその幕を閉じました。しかし、その教訓は、今後の業界再編において重要な示唆を与えています。この出来事は、企業間の統合がいかに複雑で困難なものであるかを物語っています。

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