JR北海道マヤ35形客車

マヤ35形客車について

マヤ35形客車は、北海道旅客鉄道（JR北海道）が使用する軌道検測用の事業用客車です。この客車は、JR北海道が国鉄から引き継いだマヤ34形高速軌道検測車の後継モデルとして開発されました。基本的に、東日本旅客鉄道（JR東日本）のE491系電車を基に設計されており、動力を持たず、他の気動車や機関車に引かれて運行されます。将来的には自走できる電気検測車を組み込み、総合検測車としての運用も視野に入れています。この客車は、日立製作所により製造されました。形式は国鉄の規則に基づき「35」と付番されています。

開発の背景

JR北海道は、発足以来マヤ34形を軌道検測に使用してきましたが、老朽化が進んでおり、メンテナンスが難しくなっていました。特に、2011年の石勝線脱線火災事故以降、運行の安全性が厳しく問われるようになり、国土交通省からの監督命令も受けるようになりました。このような背景から、2015年に「安全投資と修繕に関する5年間の計画」が策定され、2017年度中には新たな軌道検測車の導入が決定されました。最初は既存のキハ285系気動車の転用が考えられましたが、最終的には新規製造が選ばれました。正式な導入は2017年4月に発表され、2018年4月から運行が開始されました。

車両の構造

車体

マヤ35形は、E491系と同じ20m級のアルミニウムダブルスキン構造を採用し、FSW（摩擦攪拌溶接）が使用されています。床面の高さは1,140mmですが、併結するキハ40形気動車と合わせた部分は1,270mmになります。外観には、北海道新幹線用H5系を基にした緑色の塗装が施され、紅葉をイメージしたオレンジと雪原を表現した白のアクセントがあります。

車内

車内は前部に測定室、後部に電源室が配置されています。測定室には、電源装置や検測装置が設置され、中央には監視用のモニタや作業台があります。一方、電源室には発電機と燃料タンク、消火設備が備わっています。

主要機器

マヤ35形は、最大110 km/hの速度で検測を行うことができ、外気温は-20℃から50℃での検測が可能です。台車には、光学式と電磁式のレール変位検出器を組み合わせた非接触式のものが搭載されており、これにより積雪期間中の変位測定も可能となっています。

配置と運用

札幌運転所に所属し、苗穂運転所の気動車によって挟んで検測を行います。検測は、特急列車運行区間は年に4回、その他の線路は年に2回が基本です。また、道南いさりび鉄道や海峡線を走る際は、JR貨物のEH800形電気機関車を連結して運行します。

マヤ35形客車は、北海道の鉄道の安全性を高めるために重要な役割を果たす存在であり、最新技術を導入した先進的な車両です。

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