JR四国2700系気動車

2700系気動車の詳細

2700系気動車は、四国旅客鉄道（JR四国）が運行する特急形の気動車で、老朽化が進んだ2000系気動車の後継として開発されました。本車両は、2670系を元に再設計されたもので、特に高い走行性能と快適な製品に仕上げられています。

開発背景

2700系は、当初2000系の置換えのために2600系が開発されました。2600系は空気ばねを用いた傾斜装置を採用し、メンテナンスコストを抑えつつ効率的に運行できることを目指していました。しかし、2020年の走行試験を経て、特にカーブが続く土讃線において空気容量に課題が見つかりました。このため、2600系の量産は中止され、2000系同様の制御付き自然振子装置を採用することで2700系が設計されました。この新型車両の製造は2019年から始まり、紹介されたデザインや技術が評価され、第60回ローレル賞を受賞しました。

車両構造

2700系は、ステンレス製の車体を採用し、レーザー溶接によって組み立てられています。この構造は2600系を基にしており、傾斜装置の改良により傾斜角が大きくなりました。その結果、車両の裾の絞り込みが強調され、外観がスタイリッシュになりましたが、座席の足元スペースが狭くなるという課題もあります。
エクステリアデザインには「Neo Japonism」がテーマとして取り入れられ、日本の伝統的なデザイン要素を現代的な感覚で表現しています。特に徳島県の阿波踊りや高知県のよさこい祭りをイメージした深い赤色に金や緑を配色しており、地域の文化を反映しています。

機器類

2700系は制御付き自然振子装置を採用し、振り子機構にはベアリングガイド方式が導入されています。これによりカーブをスムーズに通過でき、最大傾斜角は5度に達します。また、空気ばね台車も使用しており、安定した走行を実現しています。エンジンにはコマツ製のターボエンジンを採用しており、最高速度は130km/hに設定されています。

車内の快適性

車内設備は2600系を踏襲しつつも更なる改善が施されています。デッキの扉やシートデザインには伝統的な文様がアレンジされており、徳島や高知の自然を感じさせる色合いが使われています。また、全席にコンセントを装備し、公衆無線LANサービスにも対応しているため、現代のニーズに応えています。特に、バリアフリー設計が施された車両もあり、車椅子利用者への配慮がなされています。

編成と運用

2700系気動車は基本的に2両編成で運行され、時には増結されることもあります。運転台とトイレが全車に搭載されているため、乗客の利便性が考慮されています。特に、2020年からは「アンパンマン列車」としてテーマ性を持たせた2編成が登場し、子供たちに人気を博しています。
2700系は2020年度に40両程度の投入計画があり、特急「南風」や「しまんと」など、四国地域の主要な特急列車で活躍しています。
今後もこの新型の気動車が地域の交通の顔となり、観光促進や利便性向上に寄与することが期待されます。

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