JR東日本本社ビル

JR東日本本社ビル：渋谷のランドマークと旧国鉄本社ビルの歴史

JR東日本本社ビルは、東京都渋谷区代々木二丁目にそびえ立つ、東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）の本社ビルです。新宿駅南口近くに位置し、周辺エリアの再開発にも大きく貢献しています。しかし、このビルの歴史を語る上で欠かせないのが、かつて丸の内に存在した旧国鉄本社ビルの物語です。

JR東日本本社ビル：現代の拠点

1987年の国鉄分割民営化後、JR東日本はしばらくの間、旧国鉄本社ビルを本社として使用していました。しかし、国鉄清算事業の一環として旧本社ビルは解体され、売却されることになりました。そこで、新たな本社ビル建設の計画がスタートします。

1994年9月に着工、1997年9月17日に竣工したJR東日本本社ビルは、地上28階、地下4階建て、高さ150.15メートル（最高部）の超高層ビルです。敷地面積は24,234平方メートル、延床面積は79,070平方メートルに及びます。設計は、日建設計とジェイアール東日本建築設計事務所による共同企業体が担当しました。

本ビルの設計コンセプトは「将来の変化に対応可能な可変的な空間づくり」。柱の少ない自由度の高い空間を実現するため、スーパーフレームと呼ばれる大架構を採用しています。また、電波の反射障害の緩和とビルの正面性を高めるため、大小2つの曲面ファサードも特徴的です。

JR東日本は、小田急電鉄と共同で周辺開発プロジェクト「新宿サザンプロジェクト」を進め、本社ビルと対になる小田急サザンタワー、そして新宿サザンテラスの公開空地を整備しました。これにより、新宿駅南口エリアは大きく変貌を遂げました。

旧国鉄本社ビル：丸の内の歴史

旧国鉄本社ビルは、東京都千代田区丸の内（東京駅周辺）に位置し、日本国有鉄道（国鉄）の本社として長く利用されてきました。

旧館は、関東大震災後の1935年着工、1937年竣工。鉄骨鉄筋コンクリート構造、地上8階、塔屋2階、地下2階建てで、延べ床面積は約40,777平方メートルでした。設計主任は岡崎泰光氏、工事主任は伊藤滋氏です。建築当時としては大規模なもので、中庭のある中廊下形式の設計となっています。戦時中には空襲対策として、屋上に耐弾層が設置されました。

1962年には新館が竣工。鉄骨鉄筋コンクリート構造、地上9階、地下3階建て、延べ床面積は約35,740平方メートルでした。新館完成後、国鉄本社と運輸省が新館に移転、旧館には冷房設備が設置され、東京鉄道管理局などが入居しました。運輸省はその後、霞ヶ関合同庁舎に移転しています。

国鉄分割民営化後の1987年4月1日から、旧国鉄本社ビルはJR東日本の本社として使用されましたが、その後、敷地売却のため解体され、現在はその跡地に丸の内オアゾが建っています。旧館の屋上には鉄道神社が祀られており、殉職した職員を弔っていました（その後、東日本旅客鉄道首都圏本部に移転）。

まとめ

JR東日本本社ビルの歴史は、単なる建物の歴史にとどまらず、日本の鉄道史、そして都市開発の歴史と深く関わっています。現在の渋谷のランドマークである本社ビルと、かつて丸の内に存在した旧国鉄本社ビル。その両方を理解することで、JR東日本の歩み、そして日本の近代化の一端を垣間見ることができます。それぞれのビルの建築概要や歴史的背景を理解することは、日本の近代建築史、そして企業史を学ぶ上で重要な要素となります。

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