JR貨物コキ71形貨車

JR貨物コキ71形貨車とは

JR貨物コキ71形貨車（JRかもつコキ71がたかしゃ）は、日本貨物鉄道が1994年から製造を開始したコンテナ車で、主に乗用車との複合輸送を目的としています。この貨車は、モダンなデザインと機能性を兼ね備えており、従来の貨物輸送の課題を解決するために開発されました。

背景と開発経緯

乗用車の鉄道輸送は国鉄時代から行われてきたものの、車両を運ぶための方法にはいくつかの問題点がありました。特に、高速化が求められる中で、制輪子や集電装置による鉄粉や粉塵、さらには動物との衝突による汚損リスクが大きな課題となっていました。こうした中、JRの移行直前には、専用のコンテナが開発され、自動車メーカー各社はその運用を開始しました。

しかし、物資別の特化した輸送方式は、往路に乗用車を輸送した後、復路が空荷となるという欠点が残っていました。この問題を解消するために、低床式多目的車両として試作されたコキ70形の構造を基にしたコキ71形の開発が進められました。コキ71形は、先代の技術を活かし、往路に乗用車を積載し、復路には汎用12フィートコンテナを最大4個まで積載できるよう設計されています。これは「カーラック」システムと呼ばれ、複合輸送を可能にしました。

構造とデザイン

コキ71形の構造は、魚腹形側梁を持つ標準的なコンテナ車台枠で、低床構造を採用しています。これにより車両の床面高さは700mm、車体長は20,350mmとなっており、他の型式よりも若干長めの設計です。連結器はボルト留めの半永久的なもので、運用時には奇数番号と偶数番号の車両が1ユニットとして統一されます。

乗用車の汚損を防ぐため、ウィングトップ式のアルミ製ラックカバーが装備されています。このカバーは荷役時に油圧ポンプを用いて上方に開く設計になっており、積載性能を高めています。専用の30フィートコンテナUM20A形30000番台は、2個まで積載できるようになっており、ツイストロック式の緊締装置も2組装備しています。

運用と実績

運用開始からしばらくは、本形式のカーラックを用い、名古屋貨物ターミナルを起点にトヨタ自動車の乗用車輸送が行われていました。走行する際は、まずカーラックコンテナに乗用車を4～5台積載し、汚損を防ぐためにラックカバーを閉じて輸送しました。復路においては、カーラックコンテナ内の乗用車を積載した装置を下げることで、12フィートコンテナを最大4個積載することができました。

ただし、カーラックコンテナは構造が複雑で保守費用が高いことから、次第に運用自体が困難になっていきました。特に、SUVやミニバンなどの大型車両が増え、積載効率の悪化が懸念されました。最終的には、運用が終了し、2020年には現存しているすべての車両が解体されてしまいました。

結論

JR貨物コキ71形貨車の登場は、日本の貨物輸送の進化において重要な意味を持ちました。新技術を取り入れ、効率的な輸送システムを構築したことは、多くの関係者にとっても価値のある成果でしたが、次第に進化する市場のニーズに応えられなくなり、運用が終了したのが残念です。

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