JR貨物DB500形ディーゼル機関車

DB500形ディーゼル機関車について

DB500形ディーゼル機関車は、日本貨物鉄道（JR貨物）が2016年から導入している液体式ディーゼル機関車です。北陸重機工業が製造を担当しました。この機関車は、主に小規模な貨物駅構内での入換作業を効率的に行うために導入されました。

開発の背景

JR貨物では、大規模な貨物駅では入換専用のHD300形や、本線と入換両方に使用できるDD200形が用いられていました。しかし、小規模な貨物駅では、より小型で取り回しの良い入換専用機が必要とされていました。そこで、北陸重機工業が製造していた、専用線向けの2軸液体式ディーゼル入替動車（車籍を持たない貨車移動機）をベースに、鉄道車両としての基準を満たすDB500形が開発されました。

特徴

DB500形は、車籍を持つ鉄道車両として、信号機や自動列車停止装置を使用することで、安全性を高めています。2024年現在、4両が導入されており、初期に導入された0番台と、改良型の50番台の2つのグループに分かれています。

構造

車体

全長7.65mのL型1運転台方式で、1エンド側のボンネット内にエンジンを搭載しています。運転台は2エンド側にあります。軸配置はA-Aの2軸で、平坦線で最大500tのコンテナ貨車の入換が可能です。車体は耐候性鋼板製です。

運転台は自動車と同様のペダル式の主幹制御器と、手で操作するブレーキ弁が備えられています。2エンド側は、貨車との連結作業を容易にするため、窓が大きく設計されています。運転台には空調装置も完備されています。

50番台では、連結作業の効率化のため、前面ステップの幅が縮小され、前照灯がLEDに変更されました。

機関

0番台には、いすゞ製の直接噴射式エンジン（国土交通省の二次排出ガス規制相当）が搭載されています。一方、50番台では、ボルボ製の燃料電子制御式エンジン（EU3次排出ガス規制対応）が採用され、環境性能が向上しました。また、空気圧縮機を機関付属形としたことで、機関ボンネットが小型化されました。

保安装置

0番台は、自動列車停止装置（ATS-SF形）と緊急列車停止装置（EB装置）を搭載しています。50番台では、新たにTE装置、防護無線、信号炎管が搭載されましたが、ATSは準備工事のみとなっています。

運用

0番台

1号機は門司機関区に配置され、2017年3月のダイヤ改正から、下関駅構内での入換作業に使用されています。それまで同区で使用されていたDE10形を置き換える形となりました。下関駅構内では、入換信号機を用いる場面があるため、車籍を持つDB500形が採用されました。

50番台

51号機から53号機までの3両が製造され、門司機関区に配置されました。2021年から、西大分駅と延岡駅で、従来使用されていた貨車移動機に代わって運用されています。51号機と52号機は西大分駅、53号機は延岡駅でそれぞれ使用されています。また、50番台では次世代バイオディーゼル燃料の試験も行われています。2024年12月には、54号機が山梨県竜王駅に留置されていることが確認されました。

参考文献

日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK＆MACHINERY』2017年5月号
日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK＆MACHINERY』2022年4月号
* 白濱, 慶昭「JR貨物における最近の車両開発について」『JRガゼット』第82巻第9号、交通新聞社、2024年9月1日

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