JUICE (探査機)

JUICE（JUpiter ICy moons Explorer）計画

JUICEは、木星の氷衛星を探査するために、欧州宇宙機関（ESA）が主導する国際的なミッションです。この計画には日本やアメリカを含むさまざまな国が参加しており、特にガニメデ、カリスト、エウロパという衛星の探査が重点的に行われます。これらの衛星は、表面の下に液体の水や氷を保持していると考えられており、生命維持の可能性を探るための重要な対象です。また、JUICEは2012年5月2日にESAのCosmic Vision計画の一環として公式に発表されました。

背景

このミッションは、EJSM（Europa Jupiter System Mission）の流れを受けたジュピター・ガニメデ計画の改変版です。JUICEは最初の大きなミッションとして選ばれ、2012年4月には他の候補より優先されることが決定されました。2014年11月には開発段階への進展が承認され、計画が具体化していきました。最終的には、2023年4月14日にフランス領ギアナの宇宙基地から打ち上げられました。

計画の詳細

JUICEは2023年にアリアン5ロケットで打ち上げられ、月、地球、金星をスイングバイし、最終的に2029年に木星系に到達する予定です。その後、カリストやエウロパをフライバイし、2032年9月頃にはガニメデの周回軌道に入る計画です。そして、2033年6月まで様々な観測を行う予定です。

探査機には、国際的に公募された11の観測機器が搭載されます。その中に、日本の宇宙科学研究所と情報通信研究機構が開発した観測機器も含まれています。

科学的目的

JUICEの主な科学的目的は、ガニメデの詳細な調査を通じてその生命維持可能性を評価することです。また、エウロパとカリストの研究によって、ガリレオ衛星の比較図を完成させることが期待されています。これら3つの衛星は、内部に液体の水が存在すると考えられており、氷の世界における生命の可能性を理解するための鍵となります。具体的な調査の目標として以下が挙げられます。

• - 地下の水層の特徴を明らかにすること。
• - 地表の地質や地理的特徴をマッピングすること。
• - 氷の殻の物理的特性を研究すること。
• - 衛星内部の質量分布や構造の進化を把握すること。
• - 大気圏の特性を調査すること。
• - ガニメデの固有の磁場と木星の磁場との相互作用を研究すること。

また、エウロパに関しては、有機化合物などの生命に必要な化学物質の探索や、地下の構造形成過程の理解が中心的な目的となる予定です。さらに、JUICEは、衛星の地下の厚さを測定し、初の地下探査を実施することも計画しています。

探査機の設計

JUICEの探査機は、太陽からの距離や木星の強い放射環境を考慮した設計となっています。木星とガニメデの軌道に乗ることや、数多くのフライバイ（合計で25回以上）を行う必要があり、約3000kgの化学推進剤を必要とします。

搭載機器

探査機には、次の11の観測機器が搭載される予定です。

• - 可視分光映像カメラ (JANUS)
• - 可視・近赤外撮像分光計 (MAJIS)
• - サブミリ波観測器 (SWI)
• - 紫外線撮像分光計 (UVS)
• - レーダーサウンダ (RIME)
• - 重力観測機 (3GM)
• - 電波・プラズマ波動観測器 (RPWI)
• - プラズマ環境観測パッケージ (PEP)
• - 磁力計 (J-MAG)
• - レーザ高度計 (GALA)
• - 惑星電波干渉計 (PRIDE)

特にRPWIのチームロゴには、日本側代表者の東北大学の笠羽教授が制作したセガの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が使用され、国際共同研究に新たなエッセンスを加えています。

JUICEミッションは、宇宙探査における重要な一歩であり、木星の氷衛星に関する新たな知見をもたらすことが期待されています。

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