J/FPS-7

J/FPS-7: 日本の航空自衛隊向け固定レーダーシステム

J/FPS-7は、航空自衛隊のために日本で開発された固定レーダー装置です。このシステムは、迅速な航空監視や警戒を目的としており、国家の空を守るための重要な役割を担っています。レーダーサイトは日本各地に設置され、この装置を使って領空やその周囲の監視が行われています。

背景と必要性

航空自衛隊は、常に変化する国際情勢に対応するため、レーダー機器の更新を進めています。しかし、従来のシステムでは機材の老朽化が問題となり、特にJ/FPS-2|J_FPS-2やAN/FPS-6、AN/FPS-20などの古いシステムは、20年以上も稼働しているため、更新が急務とされていました。

2008年度から運用を開始したJ/FPS-5|J_FPS-5は、高性能なレーダーですが、取得にかかるコストが高く、予算の制約から継続的な採用が難しい状況でした。そこでJ/FPS-7は、比較的低いコストで高性能を提供することを狙いとして開発されたアクティブフェーズドアレイ[[レーダー]]です。この装置は、特にステルス機や巡航ミサイルといった低レーダー反射面（RCS）の目標に対応する能力を備えています。

開発と設計

J/FPS-7の設計は日本電気が担当しており、特にコスト削減が意識されています。平成24年度からの機器製造が始まり、ライフサイクルコストの低減も考慮されています。初期の開発では弾道ミサイル探知機能にあまり重視が置かれていませんでしたが、2013年12月に策定された中期防衛力整備計画において、弾道ミサイルへの対応能力を強化する方針が示されました。この影響で、見島分屯基地や沖永良部島分屯基地、宮古島分屯基地に設置されたJ/FPS-7には、新たに弾道ミサイル対処機能が追加されることとなりました。

配備と取得コスト

J/FPS-7の1機あたりの取得コストは、沖永良部島で約39億円から、見島では約49億円とされています。自衛隊では西方重視の方針を受け、西日本のレーダーサイトから優先的に設置が行われています。

整備の進行に関しては、平成24年度に沖永良部島、平成25年度には高畑山、宮古島、平成26年度に見島、平成28年度には海栗島、平成29年度には稚内にそれぞれ設置予算が組まれ、導入されました。最終的には、沖永良部島が平成27年、高畑山が平成28年、宮古島が平成29年、見島が平成30年、海栗島が令和3年、稚内が令和4年に設置されました。

レーダーシステムの特徴

J/FPS-7のレーダーシステムは、近距離探知用と遠距離探知用のアンテナをそれぞれ独立させて配置しています。近距離用のアンテナは三面、遠距離用は一面のアンテナが設置されており、高出力化を図るために窒化ガリウムが用いられています。このため、精度の高い監視が可能となり、航空自衛隊の任務に大きく貢献しています。

配備状況

現在、配備されている基地には以下のようなものがあります。見島分屯基地（第17警戒隊）は2018年度にJ/FPS-7へと更新され、すでに弾道ミサイル防衛（BMD）機能を整えています。高畑山（第13警戒隊）、宮古島（第53警戒隊）、沖永良部島（第55警戒隊）といった他の基地でも同様に更新され、弾道ミサイルへの対応が進められています。海栗島（第19警戒隊）は2020年度に、稚内（第18警戒隊）は2021年度に新たなシステムへと切り替えています。

このように、J/FPS-7は航空自衛隊の防衛能力を支える重要な技術であり、更新が進むレーダーサイトにおいて、高度な性能を持つレーダーが国の安全を守る一助となっています。

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