Ju 188 (航空機)

Ju 188 - ドイツの双発爆撃機

概要

Ju 188は、ドイツのユンカース社によって製造され、第二次世界大戦中にドイツ空軍で使用された双発爆撃機です。この機体は、当初、Ju 88の発展バージョンとして設計されましたが、新型爆撃機の開発が遅れたため、実質的にはドイツ軍の最後の爆撃機となりました。後にはさらに改良型のJu 388が開発されました。

開発の背景

1936年、ユンカース社は高速戦術爆撃機の設計コンペに参加し、Ju 85とJu 88の2つの提案を行いました。両機の設計は非常に類似しており、違いは尾翼の形状くらいでした。戦争前、Ju 88は大幅な改良が施され、1939年には新世代の爆撃機の需要が高まっていました。しかし、当時のユンカース社は新型エンジンの開発で遅延を抱え、この影響で「Ju 88B計画」が応急的に再提案されました。

RLM（ドイツ航空省）は、改良された設計を採用し、ユンカース社に試作機の開発を指示しましたが、実際の開発が進むにつれて期待された性能はなかなか実現しませんでした。このため、戦闘機と同様のエンジンが使用されること等、多くの変更が加えられることとなりました。

運用および生産

最初の量産型であるJu 188 Eは1943年の初夏に実戦での運用を開始しましたが、本格配備は秋以降に行われました。1944年には偵察機型のJu 188 Dが開発され、こちらも大量に生産されました。総生産数は1076機に達しましたが、Ju 188は他の同時期の機体と比べてそれほどの性能向上は見られませんでした。

バリエーション

Ju 188は多くのバリエーションを持ちます。

Ju 88 B-0

試作機であるJu 88 B-0は1940年に初飛行し、さまざまな高出力エンジンで性能を試験しました。しかし、その後の変更によって爆弾倉の容量不足が問題として浮上しました。

Ju 188 A & E

Ju 188 A型とE型は異なるエンジンが搭載される設計で、これによりその性能は分かれました。特にE型は長距離任務に使われ、A型よりも多くの機体が生産されました。

Ju 188 D & F

偵察目的でのJu 188の改良型が開発され、増加した航続距離で多くの任務に対応しました。

Ju 188 G & H

爆弾倉の容量不足を解消するために新たな設計が試みられましたが、生産には至りませんでした。

Ju 188R

一部のJu 188が夜間戦闘機に改造されましたが、その性能には課題が多く、正式には採用されませんでした。

最終的な評価

Ju 188は、爆撃機としての役割には適していましたが、その設計自体はJu 88の小規模な改造にとどまっていました。爆弾当たりの搭載量もそれほど大きくなく、多くの任務には旧型のJu 88が用いられることが一般的でした。徐々にJu 188は高性能機が必要な特定の任務でのみ使用されるようになりました。

生産は1944年の夏まで続き、A型とE型のチューンも含め、最終的に500機が製造されました。

スペック

• - 全長: 14.94m
• - 全幅: 22.00m
• - 全高: 4.44m
• - 自重: 9,990kg
• - 最大速度: 499km/h
• - 乗員: 4名
• - 武装: 20mm MG 151/20 機関砲×1、13mm MG 131 機関銃×3、爆弾3,000kg

Ju 188は、開発当初から戦争終結までの過程で数多くの技術的課題に対処しながら進化しましたが、その設計が持っていたクセや限界を抱えた機体でした。その存在は、航空機開発の過渡期を象徴する一つの例とも言えるでしょう。

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