Ju 252 (航空機)

Ju 252輸送機の概要

Ju 252は、第二次世界大戦中にドイツのユンカース社によって開発された航空機である。この機体は、Ju 52の後継機として位置付けられ、1941年に初飛行を果たした。Ju 252は特にその近代的な設計が特長で、主脚の完全引き込み式や強化されたエンジンを搭載している。だが、当時の戦争状況を考慮すると、既にJu 52に対する需要が高く、新たなモデルの生産は期待通りには進まなかった。価格が高かったこともあり、ドイツ空軍からは大量の発注を受けることができなかったのだ。このため、ユンカース社はその後、廉価版の機体であるJu 352の開発に着手しなければならなかった。

開発の背景

Ju 252の開発は1938年にユンカース社とルフトハンザドイツ航空が行った会議を起源とする。ルフトハンザ航空は新たな輸送機に対して、Ju 52よりも優れた搭載量、座席数、航続距離、性能を求めていた。この要望に応える形で、ユンカース社はEF.77という設計案を提示した。

EF.77は、Ju 52のBMW 132星型エンジンに代わり、ユンカースJu 88で用いられたユモ211Fエンジンを三基搭載し、その結果として性能が格段に向上した。Ju 252とJu 52を比較すると、搭載量は2倍（13,100kg対5,600kg）、最大速度も100km/h以上速く（440km/h対305km/h）、航続距離も著しく改善された（3,980km対1,300km）。

しかし、1941年10月には試作機の準備が整う頃には、戦争は既に進行中であり、開発はドイツ空軍に引き継がれた。

特徴と構造

Ju 252は、尾輪式降着装置を採用していたため、通常の駐機中は機体が傾斜しており、荷物の積み入れが困難だった。この問題に対処するため、ユンカース社は油圧作動式のローディングランプ「トラポクラッペ」を開発し、機体後部から大きな荷物の搬入を可能にした。このシステムは戦後、多くの国の輸送機でも採用され、輸送機の基本構造に大きな影響を与えた。

Ju 252はJu 52/3mからの明確な進化を示していたが、同時に既存の生産ラインに混乱をきたすことは許可されていなかった。そのため、ドイツ航空省はJu 252に関して、生産には戦略物資の使用を最小限に抑え、戦闘機と同じエンジンを使わないことを条件とした。この指示を受け、ユンカース社はJu 252の開発を進めつつも、木製部品への変更やBMW製のブラモ323Rエンジンに換装可能な部位の調査を進め、最終的にJu 352の製造へとつながることとなった。これにより、Ju 252の生産は試作機を含む15機というごく限られたものに縮小されることになった。

スペック

• - 全長: 25.10 m
• - 全幅: 34.09 m
• - 全高: 5.75 m
• - 翼面積: 122.63 m²
• - 空虚重量: 13,100 kg
• - 最大離陸重量: 24,000 kg
• - エンジン: ユンカース ユモ 211F（液冷V型12気筒）1,340 hp × 3
• - 最大速度: 439 km/h
• - 巡航速度: 334 km/h
• - 航続距離: 3,980 km
• - 巡航高度: 6,300 m
• - 上昇率: 228 m/分

武装

• - 7.92 mm MG 15機関銃 × 2（側面窓）
• - 13.0 mm MG 131機関銃 × 1（背面銃座）

乗員

• - 3名 + 32名

このように、Ju 252はその革新的な設計と性能向上が特徴であり、戦争の状況を反映した生産の歴史を持つ航空機である。それは、単なる輸送機としてだけでなく、航空機の設計と運用における重要な進展を示すものであった。

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