K2-229b

K2-229bは、地球からおとめ座の方向へおよそ340光年離れた宇宙空間に位置するK型主系列星、K2-229を周回する二つの太陽系外惑星の一つです。その特異な物理的性質と極端な軌道環境から、系外惑星研究において注目すべき天体とされています。

この惑星は2018年に発見されました。その手がかりとなったのは、宇宙望遠鏡ケプラーの延長ミッションである「K2ミッション」が捉えた、惑星が主星の手前を横切る際に生じる光のわずかな変化（トランジット）の観測データです。初期発見後、チリのラ・シヤ天文台に設置された高精度観測装置ESPRESSOを用いたドップラー分光法による精密な追跡観測が行われ、K2-229bの詳細な物理的性質が明らかになりました。

精密な観測データから、K2-229bは地球と比較して特徴的な物理量を持つことが判明しました。質量は地球の約2.59倍、半径は約1.164倍と算出されており、これらの値から、この惑星は岩石質の「地球型惑星」に分類されると考えられています。そのサイズは地球よりわずかに大きい程度ですが、質量はかなり大きいことがわかります。

K2-229bの最も顕著な特徴の一つは、その軌道です。主星K2-229からわずか約200万キロメートルという非常に近い距離を公転しており、その軌道を一周するのに要する時間はわずか14時間にも満たない極めて短い周期です。主星とのこの極端な近さゆえに、K2-229bの表面は想像を絶するほど高温になると予測されており、その温度は摂氏1,700度から2,000度を超えるとも推定されています。これは、ほとんどの岩石や金属が融解するような過酷な環境です。

そのサイズに比して大きな質量を持つことから、K2-229bは非常に高い密度を持つことが計算されています。その密度は約8.9 g/cm3に達し、これは太陽系内で最も密度の高い惑星である地球（約5.5 g/cm3）のおよそ1.6倍にあたります。この極めて高い密度は、惑星の内部構造が通常の岩石惑星とは大きく異なることを強く示唆しています。また、この密度に基づけば、惑星表面における重力は地球表面の重力の約1.91倍にもなると計算されます。

この異常な高密度は、K2-229bの内部構造についていくつかの可能性を提示しています。一つは、鉄などの重い金属で構成された巨大な核を持つ「鉄惑星」である可能性です。もう一つは、「クトニア惑星」説で、これは元は巨大惑星だったものが主星に接近し、強い恒星風などによって外層のガスなどが剥ぎ取られて岩石や金属の核だけが残ったと考えられている天体タイプです。K2-229bの観測結果は、これらのいずれか、または類似した極端な内部組成や進化を経て現在の姿になったことを示唆しています。

K2-229bの発見は、極端な環境下で形成・進化した多様な系外惑星が存在することを示す重要な事例です。高密度で主星に極めて近い軌道を持つこの種の惑星の研究は、惑星系の多様性や進化の理解を深める上で貴重な貢献をしています。

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