K2-72e

K2-72e

K2-72e（正式名称 EPIC 206209135.04）は、確認された太陽系外惑星の一つで、地球に近い性質を持つ岩石惑星であると考えられています。この惑星は、主星であるM型（赤色矮星）恒星K2-72の周囲を公転しており、特に生命が生存可能な環境が存在しうるとされるハビタブルゾーン内に位置している点が注目されています。

この系外惑星は、地球から見てみずがめ座の方向に約227.7光年（およそ69.8パーセク）離れた宇宙空間に存在しています。その発見は、恒星の手前を惑星が通過する際に生じるわずかな光量の変化を捉えるトランジット法によってなされました。K2-72惑星系は、アメリカ航空宇宙局（NASA）のケプラー宇宙望遠鏡が実施したセカンドミッション（K2ミッション）の観測データに基づいて発見され、K2-72eは同惑星系内で最も外側を周回する惑星として、2016年7月中旬に他の3つの惑星と共に公表されました。

特徴

K2-72eは、地球型惑星に分類されており、その物理的特徴は地球と比較して類似点と相違点があります。推定される平衡温度は約289K（摂氏16度）と、生命にとって比較的穏やかな温度範囲にあります。半径は地球の約1.29倍、質量は地球の約2.7倍と計算されており、これらの数値は岩石質の組成を示唆しています。

主星であるK2-72は、太陽に比べてはるかに小型で低温な赤色矮星です。質量は太陽のわずか約0.21倍、半径は約0.23倍であり、表面温度は約3497Kです。太陽の表面温度が約5778Kであることと比較すると、その低温性が際立ちます。K2-72の年齢は現時点では不明ですが、赤色矮星は太陽のようなG型星に比べて寿命が非常に長いことが知られています。K2-72のような赤色矮星は、5000億年から6000億年もの長きにわたって安定して輝き続けると考えられており、これは太陽の約40倍から50倍に相当する期間です。主星の視等級も現在のところ判明していません。

K2-72eの軌道は、主星の非常に近い位置にあります。公転周期は約24日と短く、軌道半径は地球の公転軌道半径の約0.1倍です。これは太陽系内の水星の軌道半径（約0.38天文単位）と比較してもかなり内側にあたります。しかし、主星K2-72が太陽よりもはるかに小さく暗いため、この近い軌道であってもハビタブルゾーン内に位置することができるのです。

居住可能性

K2-72eは、同じ惑星系内のK2-72cと共に、液体の水が存在しうる範囲であるハビタブルゾーン内に位置しています。半径が地球の1.29倍であることから、岩石質の表面を持つ可能性が高いとされています。理論上、この惑星は主星に対して常に同じ面を向ける潮汐ロック状態にあると考えられています。この場合、常に昼の面と夜の面が存在することになりますが、両面の境界線にあたる明暗境界線では、水の凍結点に近い約273K（摂氏0度）程度の温度になり、生命にとって適した環境となる可能性が指摘されています。さらに、惑星に十分な厚さの大気が存在し、昼側で受け取った熱を夜側へ効率的に輸送できれば、居住可能な領域はさらに広がる可能性があります。

一方で、K2-72eが主星から受け取るエネルギー量は地球よりも約46%多いと計算されており、これは居住可能性に対する懸念点となります。この過剰なエネルギーによって、かつて存在した可能性のある表面の海が蒸発して失われ、現在の環境では液体の水が存在しない「乾いた」惑星になっている可能性も否定できません。もし海が完全に失われている場合、その居住可能性は大きく損なわれることになります。

発見

K2-72eは、ケプラー宇宙望遠鏡のK2ミッションによって観測されたデータから、主星K2-72を周回する他の3つの惑星、K2-72b、K2-72c、K2-72dと同時に検出されました。これらの惑星の発見は、K2ミッションによる系外惑星候補のリストと共に、2016年7月中旬に研究者によって公表されました。この発見は、赤色矮星のハビタブルゾーン内に存在する潜在的に居住可能な岩石惑星の例として、系外惑星探査において重要な成果となりました。

もう一度検索