KB-29 (航空機)

KB-29: アメリカ空軍の空中給油機

KB-29は、アメリカ空軍が使用していた空中給油機で、B-29戦略爆撃機を改造した進化系です。この機体は第二次世界大戦後、余剰のB-29をもとにしました。冷戦の台頭が見え始めた1940年代後半、アメリカ空軍は爆撃機の航続距離を伸ばす必要性を感じていました。そこで、空中給油の技術を活用し、既存のB-29を改装して運用する決定が下されました。

KB-29の配備は1948年から始まり、戦略航空軍団の爆撃機をサポートする重要な役割を担いました。この機体の初期モデルはKB-29Mで、空中給油を行うために特別に改装されたB-29MR（受油機）と組み合わせて使用されました。B-29MRは特徴的に尾部の銃座をなくし、右舷に空中給油装置を設置しています。また、前部の爆弾倉は核爆弾を搭載するために確保され、後部爆弾倉は燃料タンクに改造されました。

KB-29Mは、ループホース式の空中給油を行うために開発されたため、給油手順は特有のものでした。KB-29MがB-29MRの左上方に位置することで、給油がスタートします。具体的には、KB-29Mが錘の付いたワイヤーを下に垂らすと、B-29MRはそのワイヤーを後方に流します。KB-29Mの動きにより、ワイヤーが交差し組み合わさります。最後に、そのワイヤーを引っ張ることで、KB-29Mから延びたホースがB-29MRの燃料タンクに接続され、給油が始まります。この方式により、KB-29は1949年に世界一周飛行を成功させたB-50ラッキー・レディ2号の支援を行いました。

ただし、ループホース方式の実用性には限界があり、その後はより効率的なプローブアンドドローグ方式が登場しました。KB-29Mも後にこの新しい方式に改装され、さらに柔軟な運用が可能となりました。それに加え、主翼の両端や尾部に追加の給油装置を備えた試作機YKB-29Tも開発されました。この機体は給油ホースを三ヶ所に装備しており、1機が改装されました。また、フライングブーム方式を採用した試作機YKB-29Jも2機が製造され、KB-29Pが最終的にフライングブーム方式を実用化しました。

KB-29はアメリカ空軍の空中給油能力を高める重要な機体であり、時代とともに改良が施され続けました。これによって、爆撃機の運用距離が拡張され、航空戦力の一層の強化に寄与しました。空中給油機の役割を果たし続けたKB-29は、冷戦時代における航空戦力向上の一翼を担ったと言えるでしょう。

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