KT&G

KT&G（ケイティーアンドジー）

KT&Gは、大韓民国に本社を置く、国内唯一のタバコ製造会社です。その歴史は1899年に李王朝の宮内部内蔵院参精科として設立されたことに遡ります。その後、日本統治時代を経て、専売庁、そして1989年には国営企業の韓国タバコ人参公社へと変遷しました。

民営化と事業の多角化

長年にわたり、タバコとオタネニンジン（高麗人参）の専売権を握り、韓国市場を支配していましたが、専売権の撤廃と輸入自由化の流れを受け、1997年にはIMFによる韓国救済措置の一環として、国会で民営化が決定されました。1999年以降、政府保有株は徐々に売却され、2002年には社名を現在のKT&Gに変更し、同時に外国人による株式保有制限も撤廃、完全民営化を果たしました。

社名「KT&G」は、当初はKorea Tobacco & Ginseng（韓国タバコ人参公社）の略でしたが、事業内容の拡大に伴い、現在はKorea Tomorrow & Global（明日の韓国と世界）と説明されています。

KT&Gは、プロスポーツチームの運営にも力を入れています。女子バレーボールチームの大田正官庄レッドスパークスはVリーグでトップクラスの実力を誇り、国家代表チームのスポンサーも務めています。また、2005年にはプロバスケットボールチームを譲り受け、安養KT&Gカイツ（現：安養正官庄レッドブースターズ）として韓国バスケットボールリーグに参入しました。

同じく韓国の企業であるKTとは直接的な関係はありません。

子会社と関連事業

KT&Gは、複数の子会社を有しており、その中でも特に有名なのが韓国人参公社（KGC）です。KGCは、紅参製品を中心とした健康食品ブランド「正官庄」を展開しています。その他、KGCライフ&真では、紅参以外の健康食品や生活関連商品を扱っています。また、MBCドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』では、韓国人参公社が「人参」という台詞のみでパブリシティを実施しました。

人種差別広告問題

2013年9月、KT&Gが発売した製品「THIS AFRICA」のパッケージと広告が、アフリカ人をチンパンジーに見立てているとして、大きな批判を浴びました。アフリカ・たばこ規制同盟からは「破廉恥で侮辱的」と非難され、BBCやAFP通信などの欧米メディアも「レイシスト」と批判的な報道を行いました。KT&Gは問題の広告を中止しましたが、チンパンジーが描かれたパッケージについては当初変更を拒否し、海外メディアの取材に対し「サルはアフリカを連想させる愉快な動物として選んだ」と回答したため、更なる反感を買いました。しかし、最終的にはパッケージの差し替えを発表せざるを得なくなりました。

日本との関係

かつて、日本たばこ産業（JT）はKT&Gを委託生産先としていましたが、2017年に委託先をフィリピン企業に変更しました。これに伴い、2019年にはJTは保有していたKT&Gの株式を全て売却しました。

KT&Gは、タバコ製造に加えて、高麗人参製品、プロスポーツチームの運営など多角的な事業を展開する韓国を代表する企業の一つです。

もう一度検索