Kl 36 (航空機)

クレム Kl 36



クレム Kl 36(Klem Kl 36)は、1930年代ドイツで開発されたツーリング及び競技用の4座単葉機です。この機体はクレム社により設計され、当時の航空技術を代表する存在として知られています。

開発の背景



クレム社は、1932年度のヨーロッパ・ツーリング機選手権で成功を収めた3座型機、クレム Kl 32の実績を受けて、さらなる高性能機の開発に着手しました。ドイツ航空省(RLM)から受けた委託に基づき、1934年度の大会に向けて新たに設計されたのがこのKl 36です。大会の規則変更により、より効率的な短距離離着陸性能(STOL)を持つ機体が求められ、設計者フリードリヒ・フェックナーは高度な機能を盛り込んだ流麗な4座機を完成させました。

量産型の最初のバージョン、Kl 36Aは4機が製造されました。これには、225 hpのArgus As 17Aエンジンを搭載した機体と、250 hpのHirth HM8Uエンジンを装備した機体が含まれています。次に登場したKl 36B型では、異なるエンジンオプションが搭載され、特に1機は引き込み式降着装置を採用することで、Kur 36Aよりも若干重量が増加しています。

運用の歴史



Kl 36Aは1934年度のヨーロッパ・ツーリング機選手権において4機が出場しましたが、全機が周回ラリーを完走することはできませんでした。特に2度の大会優勝経験を持つフリッツ・モーツィックは、燃料ポンプの故障により棄権に追い込まれながらも、競技以外の航路で飛行を続けました。この年、Kl 36Aはテクニカル競技の最低速度競技で57.67 km/hの成績を収めましたが、同大会出場のフィーゼラー Fi 97には敵いませんでした。さらに、第二次世界大戦中には、ドイツ空軍において連絡機としても使用されました。

技術的特徴



Kl 36は、混合構造を採用した低翼単葉機で、尾翼は一般的な形式を持っています。胴体は鋼製フレームに羽布が被せられ、主翼の外翼部分と尾翼は合板仕上げの木製で構成されています。また、主翼は後方に折りたためることができ、利便性を考慮した設計となっています。密閉式のキャビンは、パイロットと三名の乗客を収容可能で、優れた視界が確保されています。固定式の降着装置には尾橇が装備されており、主車輪には涙滴形のカバーが付けられていますが、重量の関係から競技時には取り外されたケースもあります。主翼には前縁のスラットとフラップが備わっており、490 kgの有効搭載量と230 Lの燃料搭載量を誇ります。

要目



  • - 乗員:1名
  • - 乗客:3名
  • - 全長:9.2 m
  • - 全幅:12 m
  • - 全高:2.38 m
  • - 翼面積:19.5 m²
  • - 空虚重量:560 kg
  • - 全備重量:1,050 kg
  • - エンジン:1 × アルグス As 17A 倒立 直列6気筒(225 hp)
  • - 最大速度:250 km/h
  • - 巡航速度:220 km/h
  • - 巡航高度:5900 m

このように、Kl 36はその性能とデザインにおいて、当時の航空機の進化を象徴する存在でありました。

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