LCVP (アメリカ合衆国)

LCVP（ヒギンズ・ボート）について

LCVP、正式名称Landing Craft, Vehicle, Personnelは、アメリカ海軍が第二次世界大戦中に使用した上陸用の舟艇です。この船はアンドリュー・ヒギンズによって設計され、主に戦場における迅速な兵士や物資の揚陸を目的としています。時にはヒギンズ・ボートとも呼ばれ、操作が簡単で効率的なデザインが特徴です。

LCVPはその軽量な構造と独自の吃水設計により、浅い水域でも安定した航行が可能です。合板で作られた船体は、36人の兵士を乗せて海岸に向かうことができ、最大速度は9ノット（約17 km/h）に達します。この高速戦術により、敵の抵抗を最小限に抑えつつ、迅速に上陸作戦を展開することができました。

基本仕様

LCVPは以下のような特徴を持っています：

• - 軽貨排水量：18,000ポンド（約8.2トン）
• - 全長：36フィート3インチ（約11.05メートル）
• - 全幅：10フィート10インチ（約3.30メートル）
• - 吃水：前方2フィート2インチ（約0.66メートル）、後方3フィート（約0.91メートル）
• - 機関：225馬力のグレーマリン・ディーゼルエンジンまたは250馬力のガソリンエンジンを搭載
• - 速力：9ノット（約17 km/h）
• - 乗員：3人
• - 搭載能力：車両は最大6,000ポンド（約2,700 kg）、物資は最大8,100ポンド（約3,700 kg）、兵員は36人を運ぶことができる
• - 武装：7.62mm機銃を2丁装備

戦争での役割

第二次世界大戦において、LCVPはノルマンディー上陸作戦を含む数多くの戦闘で中心的な役割を果たしました。兵士たちはこの舟艇から、前方に設置されているバウランプを通じて直接的に戦場に突入できたため、その迅速さと機動力は敵に対する優位性を持つ要素となりました。LCVPは、その存在を通じて上陸作戦の成功に大きく寄与しました。

現在の状況

21世紀に入った現在も、いくつかのオリジナルのLCVPやそのレプリカが保管されています。アメリカには、国立第二次世界大戦博物館やアメリカン・ヘリテージ・ミュージアム、国立アメリカ陸軍博物館といったさまざまな軍事系博物館があり、ここではこの歴史的な舟艇を実際に目にすることができます。特に、アメリカン・ヘリテージ・ミュージアムに展示されているものは、ノルマンディーで発見された実物のLCVPです。このような展示を通じて、来館者はこの舟艇の歴史的な重要性を理解し、戦争の影響を考える機会を得ることができます。

まとめ

LCVPは、海上作戦における重要な要素として、第二次世界大戦の歴史に刻まれています。この舟艇が果たした役割は、単なる輸送手段を超え、戦闘の戦略にも深く関わっていました。LCVPの設計者であるヒギンズの独創性とその設計がもたらした実用性は、今日においても多くの人々に語り継がれています。

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