LHS 1815 b

LHS 1815 b

LHS 1815 bは、太陽から比較的近い位置にあるM型主系列星、恒星LHS 1815の周囲を公転する太陽系外惑星です。この天体は、その物理的特徴に加え、銀河系における特異な存在位置によって、天文学者の関心を集めています。

発見と名称

LHS 1815 bは、NASAのトランジット系外惑星探索衛星（TESS）ミッションによって、2020年に発見されました。TESSは、惑星が主星の手前を通過する際に生じる恒星の明るさの周期的な減光（トランジット）を観測して惑星を検出します。この惑星には、TOI-704 bやTIC 260004324 bといった別の識別名も与えられています。

物理的性質

LHS 1815 bは、地球型惑星、特に「スーパーアース」に分類されると考えられています。スーパーアースは、質量が地球より大きいものの、巨大ガス惑星ほどではないサイズの惑星の総称です。LHS 1815 bについて測定された主な物理的性質は以下の通りです。

分類: 地球型惑星（スーパーアース）
質量: 約0.0132木星質量（地球の約4.2倍に相当）
半径: 約0.09707木星半径（地球の約1.1倍に相当）

これらの数値は、LHS 1815 bが地球と類似した岩石質の表面を持つ可能性を示唆していますが、地球より質量が大きいことが分かります。

軌道特性

LHS 1815 bは、その主星である恒星LHS 1815のごく近くを公転しています。

公転周期: 約3.81433地球日
* 軌道長半径: 約0.0404天文単位（au）

軌道長半径が0.0404天文単位であることから、LHS 1815 bが主星から非常に近い距離にあることがわかります。これは、太陽から地球までの平均距離のわずか約4%に過ぎません。短い公転周期は、地球の時間で約3.8日に一度、主星の周りを一周することを意味します。

銀河系における特異な位置：厚い円盤での発見

LHS 1815 bが科学的に特に注目される最大の理由は、その存在位置にあります。この惑星系は、天の川銀河の構造の一つである「厚い円盤（Thick-disk）」と呼ばれる領域に位置していることが確認されています。

天の川銀河は、薄い円盤、厚い円盤、そしてハローといった主要な構造で構成されています。私たちの太陽系を含め、銀河系のほとんどの恒星や惑星系は、銀河平面に沿った「薄い円盤」の中に位置しています。一方、「厚い円盤」は、薄い円盤を取り囲むように、銀河平面から比較的離れた高い位置に広がった領域です。

これまでにTESSミッションによって発見された太陽系外惑星系の大多数は、薄い円盤で確認されてきました。しかし、LHS 1815 bは、TESSが発見した惑星系の中で初めて、この厚い円盤内に位置することが確認された事例となりました。このため、LHS 1815 bは「Thick-disk planet」と呼ばれる初の事例の一つとして記録されています。

厚い円盤という、これまでのTESS発見例とは異なる環境で惑星が存在しうることが示されたLHS 1815 bの発見は、銀河系の多様な領域における惑星形成の普遍性に関する我々の知識を広げる上で重要な知見を提供します。

まとめ

LHS 1815 bは、約4.2地球質量、約1.1地球半径を持つスーパーアースであり、恒星LHS 1815の周りを短い周期で公転しています。2020年のTESSによる発見の中でも、特に銀河系の厚い円盤という特異な位置にあることが科学的に注目されており、TESSによって発見された初のThick-disk planetとして、銀河系の様々な環境における惑星の存在可能性を理解する上で貴重な発見事例となっています。

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