LIVE! LOVE! SING! 生きて愛して歌うこと

『LIVE! LOVE! SING! 生きて愛して歌うこと』は、2015年3月10日にNHK総合テレビで放送された特集ドラマで、主演は石井杏奈さんが務めました。2016年には劇場版も公開されています。

このドラマは、阪神・淡路大震災（1995年）と東日本大震災（2011年）という二つの大震災を背景に、それぞれの震災で傷ついた人々の心の復興を描いています。物語の中心となるのは、東日本大震災で被災し、福島県から神戸市に避難してきた女子高校生・水島朝海です。

朝海は、震災の影響でバラバラになった同級生たちと共に、福島第一原子力発電所事故による立入制限区域となっている母校の校庭に埋められたタイムカプセルを探しに行く旅に出ます。この旅は、単なる過去の遺物探しではなく、震災で失われたもの、そして未来への希望を再確認するロードムービーとしての側面も持ち合わせています。

脚本は、東日本大震災を題材にした特集ドラマ『ラジオ』（2013年）の脚本を手がけた一色伸幸さんが担当。演出は、阪神・淡路大震災を描いた『その街のこども』（2010年）や、東日本大震災をテーマの一つとした『あまちゃん』（2013年）の井上剛さんが担当しました。

音楽は、『その街のこども』『あまちゃん』でも音楽を手がけた大友良英さんがSachiko Mさんと共に担当。震災の記憶をどのように残し、伝えていくべきかというテーマを、ドラマ全体を通して深く掘り下げています。撮影はオールロケーションで行われ、特に福島でのシーンは、被災がれきが残る立入制限区域内での撮影も行われ、ドキュメンタリーのようなリアリティも感じさせます。

物語の重要な要素として登場する「みそぱん」は、福島市にある菓子店の商品で、実際に県内の多くの場所で販売されています。この「みそぱん」のように、ドラマには、震災の記憶や福島の文化を伝える要素が散りばめられています。

物語は、朝海が学校行事で歌うことになった『しあわせ運べるように』という歌に違和感を覚えるところから始まります。そんな中、福島の同級生・渡部本気からのメールをきっかけに、朝海は、神戸に住む佐藤勝、横浜に住む橘香雅里、そして高校教師の岡里清春と共に、福島県富波町へタイムカプセルを探す旅に出ます。

このドラマは、震災で傷ついた若者たちが、過去と向き合い、未来へと踏み出す姿を描いています。登場人物たちの心の葛藤、そして、それぞれの場所で震災の記憶を抱えながら生きる姿は、観る人の心に深く響きます。

登場人物
水島朝海：石井杏奈
岡里清春：渡辺大知
橘香雅里：木下百花
佐藤勝：柾木玲弥
渡部本気：前田航基
アスカ：ともさかりえ
清春の母：南果歩
モーさん：中村獅童

主なスタッフ
作：一色伸幸
演出：井上剛
音楽：大友良英、Sachiko M
制作統括：内藤愼介、京田光広

劇場版では、全国放送版に未公開シーンが追加され、兵庫県・福島県で先行上映された後、全国各地で順次公開されました。配給は『その街のこども』と同じくトランスフォーマーが担当しました。震災の記憶を風化させず、未来へと繋ぐメッセージが込められた作品です。

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