LNER A4形蒸気機関車4468号機 マラード

マラード号 (Mallard)

概要

マラード、または一般的にマラード号と知られるこの蒸気機関車は、ロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道 (LNER) に属しています。4468号機として知られるマラードはA4形の一部であり、その名は鉄道ファンの間でも非常に有名です。この機関車は1938年にイングランドのドンカスターで製造され、著名な機関車設計者であるナイジェル・グレズリー卿の設計によるものです。

特徴

マラード号のデザインは、風洞実験を用いて空気力学的に優れた流線形を持つ車体が特徴です。この設計により、マラード号は公道上で時速160 km（100 mph）を超える速度で走行することが可能でした。全長21メートル、総重量は165トンで、車軸配置は4-6-2型です。1963年までにおよそ240万キロメートルを走行し、1988年には50周年を祝う形で動態復元されましたが、その後2003年にはボイラーの問題から再び引退しました。現在はイギリス国立鉄道博物館において静態保存されています。

速度記録

マラード号の最大の特筆すべき点は、時速203 km（126 mph）という蒸気機関車の世界最高速度記録を有することです。この記録は1938年7月3日に東海岸本線のグランサム近くのストーク・バンクで達成されました。当時、ドイツ国鉄05形蒸気機関車が持っていた時速200.4 kmの記録を塗り替えたことは、その歴史的な意義を持っています。

この記録は、ストーク・バンクの下り勾配を利用して達成されました。坂の頂上を時速121 kmで通過したマラード号は、下り坂で加速し、最初の1.6 kmで次々と速度を増していきました。最終的に記録計測車両の計器は125.88 mph（202.58 km/h）を示し、これが公式に記録された最高速度となります。

記録達成直後、マラード号は機械的故障を抱え、ドンカスターに戻る必要がありました。特に内部のシリンダーの弁装置に不具合が見つかり、これが高速走行時に車両に負担をかけていた原因とも言われています。

その後の影響

マラード号は、その後数々の蒸気機関車に追われることになりますが、この世界記録は未だに破られていません。蒸気機関車の記録は、他の交通手段の記録とは異なり、勾配や風の影響を受けやすいことに留意する必要があります。時速203 kmを超えたという噂はありますが、十分な証拠が示されているものはありません。

登場作品

マラード号はさまざまなメディアにも登場しており、特に「きかんしゃトーマス」では、モデルとなった機関車がキャラクターとしても知られています。

結論

今もなお、マラード号の記録は鉄道ファンや歴史愛好家の間で語り継がれており、ギネス世界記録としても「世界最速の蒸気機関車」という名誉を受けています。その歴史と功績は、鉄道の進化を語る上で欠かせないものとなっています。

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