LPG自動車

LPG自動車の概要

LPG自動車とは、液化石油ガス（LPG）を燃料にしたオットーサイクルエンジンを搭載した車両のことを指します。ガソリンエンジンと基本的な構造は似ていますが、特有の燃料タンクや供給装置が設けられています。また、全てのLPG自動車は新車として製造されるものと、既存のガソリン車やディーゼル車を改造したものに分類されます。

燃費と環境への配慮

LPG自動車は、ガソリン車やディーゼル車に比べてCO2排出量が低く、環境への負荷を軽減する特徴があります。具体的には、LPGの燃焼時のCO2排出係数は、ガソリン車のそれより約6~13%少なく、ディーゼル車よりも約7%少ないとの研究結果があります。このためLPGは、「化石[[燃料]]の中ではクリーンな燃料」として推奨されています。さらに、排出される煙はほとんどなく、PM（粒子状物質）やNOx（窒素酸化物）も低いという特性があります。これらの理由から、LPG自動車はタクシー業界などで広く使用されています。

歴史的背景

LPG自動車は、1940年頃に日本で試用が開始されましたが、広がりを見せるまでには時間を要しました。特に、1950年代以降に家庭用の調理に使用されるようになり、1960年代からタクシー業界で本格的に利用されるようになりました。この頃、LPGはガソリンの半額ほどの価格で提供されており、経済的な利点が決め手となりました。タクシーの安全対策が強化されることで、普及は加速し、今では日本のタクシーの約8割がLPG自動車です。

オートガスと設備

LPG自動車に用いられる燃料は「オートガス」と呼ばれ、主にブタンとプロパンの混合物です。オートガススタンドでの充填は、特定の設備により行われ、世界的には約81,000か所のオートガススタンドが設置されています。日本では、オートガススタンドの数が減少傾向にあり、タクシー密集地域での提供が多く行われています。オートガスはガソリンや軽油よりも安価であることから、燃料選択として魅力的です。

構造と燃料供給装置

LPG自動車の燃料供給システムは、ガソリン車とは異なり、ガスミキサー方式とインジェクション方式に分類されます。ガスミキサーは旧来の方式で、LPGを気化してから空気と混合する方法です。一方、インジェクション方式は気体噴射方式と液体噴射方式があり、より精密な燃料供給が可能です。これにより、LPG車の燃費と出力が改善され、実用性が高まっています。

世界的な普及状況

世界では、LPG自動車の普及が進んでおり、2019年には約2,700万台のLPG車が存在しています。特にトルコやポーランドでは多くのLPG車が登録されており、これらの国ではバイフューエル車が多く見られます。日本の場合、2020年には約20万台のLPG車が存在し、主にタクシーや小型トラックに利用されていますが、全体の割合は減少傾向にあります。

結論

LPG自動車は環境負荷を軽減するための選択肢として、特にタクシー業界での利用が多いです。今後も、その燃費の良さや低排出ガスが注目されることで、さらなる普及が期待されます。

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