LZB

LZB（連続列車制御装置）

LZB（de:Linienzugbeeinflussung）は、速度信号や自動列車制御装置（ATC）の概念に近い、車内信号方式を採用した鉄道保安装置の一種です。主に、ドイツ鉄道（DB）、スイス連邦鉄道（SBB）、オーストリア連邦鉄道（ÖBB）、スペインのAVEといった、幹線や高速鉄道路線で利用されています。

ドイツでは、最高速度160km/h以上、スペインでは200km/h以上の高速運転を行う路線において、LZBの使用が義務付けられています。速度が比較的遅い路線でも、線路容量を増強するために導入されるケースがあります。

2021年末時点で、ドイツ鉄道網の総延長33,288kmのうち、LZBが設置されているのは2,609kmです。ドイツ鉄道では、LZB設置区間を2030年頃までにETCS（欧州列車制御システム）へ更新する計画が進められています。

LZBの機能

LZBシステムでは、線路に敷設された交差誘導ケーブルを介して、列車と地上設備が双方向通信を行います。列車は自身の位置と速度を地上側に報告し、地上側からは先行列車との距離や、この先の速度制限に関する情報を受信します。

日本の自動列車制御装置（ATC）とは異なり、LZBは速度制限や先行列車との間隔に応じて、移動閉塞に近い速度制御を行います。これにより、より高い安全性が確保されます。さらに、AFB（自動加速・減速制御）と組み合わせることで、自動運転に近い制御も実現可能です。

運転台のLZB表示装置には、許容速度、目標速度、そして次の制限速度に切り替わる地点までの距離が表示されます。これにより、運転士は常に最適な運転操作を行うことができます。

初期のLZBシステムでは、4.9km先までの情報を計測可能でした。しかし、ICE（Intercity-Express）の運行開始に伴い、より高速運転に対応するため、9.8km先まで計測可能なシステムが開発されました。ケルン-ライン＝マイン高速線では、LZB CE IIと呼ばれる、300km/hを超える高速運転に対応したシステムが採用されています。このシステムでは、9.8kmの計測範囲を大幅に超え、距離に制限されることなく、より遠方までの情報を把握することが可能です。

参考文献

* 中村信雄「ケルン-フランクフルトICE3に乗る」『鉄道ファン』、交友社、2002年11月、99頁。

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