Lightning (インターフェイス)

Lightning（ライトニング）とは

Lightningは、Appleが開発した独自のコンピュータバスおよび電源コネクタを使用したデータ伝送技術です。主にiPhoneやiPad、iPod touchといったAppleの携帯端末と、ホストコンピュータ、外部モニタ、カメラ、USBバッテリー充電器、イヤホンなどの周辺機器を接続するために利用されます。

特徴

小型化: 従来の30ピンDockコネクタと比較して、非常に小型化された8ピンコネクタを採用しています。
両面挿し: コネクタに表裏がなく、どちらの向きでも挿入可能です。
独自規格: Apple独自の端子であり特許で保護されているため、他社が製造・販売するにはAppleの許可が必要となります。また、認証用チップの搭載が必須で、非認証の製品では充電や通信が制限される場合があります。

歴史

Lightningコネクタは、2012年9月12日に30ピンDockコネクタの後継として発表されました。最初の搭載製品はiPhone 5、iPod touch（第5世代）、iPod nano（第7世代）です。

その後、iPad（第4世代）、iPad mini（第1世代）にも採用され、Appleの主要なiOSデバイスに広く普及しました。しかし、2018年には一部のiPad ProにUSB-Cが採用され始め、2022年にはiPad（第10世代）もUSB-Cに移行するなど、Lightning非搭載の製品が増加しました。

2012年11月には、Appleはハーレーダビッドソンから欧州における「Lightning」の商標を取得しています。また、2015年にはApple Pencil（第1世代）やMagic Keyboardなどのアクセサリの充電・ペアリングにもLightningコネクタが使用されました。

EUの規制とUSB-Cへの移行

2021年9月、欧州連合（EU）は電子機器の充電端子をUSB-Cに統一する指令案を提出し、事実上Lightningの排除を進めました。この指令は2022年10月に可決され、2024年秋までに施行されることになりました。

Appleは当初、この規制に対してイノベーションの抑制や消費者への悪影響を懸念する立場を示しましたが、最終的には「従うしかない」と譲歩し、2023年9月発売のiPhone 15シリーズからUSB-C端子を採用しました。

2024年12月末には、EU圏内およびスイスでのLightning搭載iPhoneやアクセサリの販売を終了し、その他の地域でも順次販売終了となる見込みです。

技術

Lightningコネクタは、デジタル信号を伝送する8ピンコネクタで、上下どちらの向きでも挿入できます。Appleは、Lightningを他のインターフェース（30ピン、USB、HDMI、VGA、SDカードなど）に変換するアダプタを多数提供しています。

また、LightningはUSB 3.0以降で策定されたSuperSpeed（5Gbpsデータ通信）に対応していますが、実際に採用されたのは一部のiPad Proのみです。

Lightning搭載端末

iOS / iPadOSデバイス

iPhone 5〜iPhone 14 / 14 Pro
第5世代以降のiPod touch
第4世代〜第9世代のiPad
第5世代以前のiPad mini
第3世代以前のiPad Air
第2世代以前の12.9インチiPad Pro（USB 3.0, 5Gbps対応）
9.7インチiPad Pro
10.5インチiPad Pro（USB 3.0, 5Gbps対応）

デジタルオーディオプレイヤー

iPod nano (第7世代)

その他アクセサリ

EarPods with Lightning Connector
AirPods充電ケース
AirPods Max (Lightning)
Beats ヘッドフォンやスピーカー
iPhone Lightning Dock
MagSafeバッテリーパック
MagSafeデュアル充電パッド
Apple Watch磁気充電ドック
Apple Pencil (第1世代)
Magic Keyboard
Magic Mouse 2
Magic Trackpad 2
第2世代以前のSiri Remote
Remote Loop

また、LightningからMicroUSB、SDカード、HDMI等の他規格に変換するアダプタや、サードパーティーからAppleのMFi認証を取得した充電ケーブルやUSBメモリ、イヤホンなどのアクセサリも多数販売されています。

MicroUSBとの比較

AppleはMicroUSBについて公式には言及していませんが、業界観測筋によれば、Lightningの採用理由には、以下の点が挙げられます。

Apple MFiチップのライセンス料: Appleがライセンス料を得られるため。
利便性: どちらの向きでも挿入できるため、ユーザーの利便性が高い。
* 電力供給: デバイスを充電できるだけでなく、デバイスからアクセサリへの電力供給も可能。

これらの機能は別売りのUSB On-The-Goを使用すれば、USB機器でも実現可能です。

まとめ

Lightningは、Appleのデバイスに広く採用されてきた独自のインターフェースでしたが、EUの規制によりUSB-Cへの移行が進んでいます。その小型で両面挿し可能な利便性は評価されていましたが、今後はUSB-Cが主流となるでしょう。しかし、現在でも多くのLightning搭載デバイスやアクセサリが存在しており、これらの製品もまだしばらくは利用可能です。

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