Linux Mint

Linux Mintとは

Linux Mintは、UbuntuをベースとしたLinuxディストリビューションの一つで、洗練されたデスクトップ環境を提供することを目指しています。ユーザーフレンドリーな設計を重視しており、初心者でも比較的容易に利用できるのが特徴です。UbuntuやDebianのリポジトリを共有しており、豊富なソフトウェアを利用可能です。

歴史と特徴

2006年にフランス出身のクレマン・ルフェーブルによって設立されました。Linux Mintは、単に簡素さを追求するのではなく、多くのソフトウェアと最新技術を積極的に取り入れ、誰でも快適に使えるLinuxシステムを提供することを目指しています。

デスクトップ環境には、GNOME 3から派生したCinnamon、GNOME 2から派生したMATE、そしてXfceが採用されています。これらのデスクトップ環境はWindowsに似たインターフェースを持ちながらも、それぞれ異なる特徴を持っています。特にCinnamonは、3Dアクセラレータを必要とする点に注意が必要です。

2010年からは、DebianをベースとしたLinux Mint Debian Edition（LMDE）の開発も開始されました。これにより、Ubuntuに依存しない選択肢も提供されています。2024年1月には、バージョン21.3から実験的な機能としてWaylandセッションが利用可能になりました。

システム要件

Linux Mintの推奨システム要件は以下の通りです。

2GB以上のRAM（快適な利用には4GB以上を推奨）
20GB以上のディスク容量（100GBを推奨）
1024x768以上の画面解像度

これらの要件を満たしていれば、スムーズに動作するでしょう。

配布形態

Linux Mintは、Live DVDとして配布されており、インストール前に試用することができます。以前は、プロプライエタリなコーデックを含むバージョンも存在しましたが、現在はコーデックを含まないISOイメージのみが配布されています。

コーデックは、インストール後にメニューから選択して導入可能です。この変更は、知的財産権の問題を回避するための措置です。日本国内では、JAISTがNo codecs版のイメージ限定でミラーサーバーを再開しています。

mintTools

Linux Mintには、ユーザーの利便性を高めるための独自のツール群、mintToolsが含まれています。これらはPythonやシェルスクリプトで開発されています。

mintUpdate: ソフトウェアのアップデートを管理するツールで、アップデートの重要度に応じてレベル分けがされています。これにより、初心者でも安心してアップデートを行えます。
mintInstall: ソフトウェアマネージャで、ソフトウェアの検索、ダウンロード、インストールをGUIから行えます。UbuntuリポジトリやGetDebの検索機能も備えています。
mintUpload: ファイルをサーバーにアップロードし、URLを共有するツールです。FTPサーバの他、Linux Mintが提供するサービスも利用可能です。
mintNanny: ペアレンタルコントロールソフトウェアで、特定のドメインへのアクセスを禁止できます。
mint4win: Windows上でLinux Mintをインストールするためのツール（WubiのLinux Mint版）。
mintMenu: MATEデスクトップ環境向けのカスタマイズ可能なメインメニューです。
mintWifi: 無線LANの設定ツールで、いくつかのドライバが同梱されています。
mintBackup: バックアップツールで、ファイルやインストール済みソフトウェアリストを簡単にバックアップ・復元できます。
mintSources: Ubuntuの「ソフトウェアソース」を代替し、ミラーサーバーの速度をグラフで表示する機能があります。
mintDrivers: ドライバ管理ツールで、バージョン情報を表示し、主要メーカーのロゴを表示します。
mintDesktop: デスクトップ設定ツールで、KDEとCinnamon以外のエディションで利用可能です。
* mintStick: USBメモリにブート可能なISOイメージを展開するツールで、Linux Mint以外のディストリビューションにも対応しています。

リリースサイクルと導入方法

Linux Mintは、一定のリリースサイクルに従わず、目標達成に応じてリリースされます。安定版の他、軽量化を目的としたLMDEも試験的にリリースされています。デスクトップ環境別に複数のバージョンがあり、Cinnamon、MATE、Xfceなどから選択可能です。

導入方法は、Live DVDのISOファイルをダウンロードしてインストールするか、既存のUbuntuからアップデートすることが可能です。Linux MintはUbuntuにパッケージを追加したディストリビューションであるため、UbuntuにLinux Mint関連のソフトウェアをインストールすることで、Linux Mint環境を構築することも可能です。

日本語環境

日本語環境については、アップストリームのUbuntu Japanese Teamのリポジトリを利用することで、容易に利用可能です。

Ubuntuとの比較

Linux MintはUbuntuをベースにしていますが、独自のテーマやmintToolsといった独自のアプリケーションを搭載しています。デスクトップ環境や設定ツールにも違いがあり、Linux Mintはより洗練されたデスクトップ環境を提供することを目指しています。

Linux MintはUbuntuと互換性があり、UbuntuのヘルプやアドバイスはLinux Mintにも適用できます。

ブランチ

Linux Mintには、テストバージョンのブランチが存在します。最新機能を含む不安定なブランチは “Romeo” と呼ばれ、開発者やテスターが利用します。安定版リリースには、Romeoで十分にテストされたパッケージがバックポートされます。

まとめ

Linux Mintは、使いやすさとカスタマイズ性を両立させたLinuxディストリビューションです。初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応できるため、Linuxを試してみたい方におすすめです。

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