Lo-D

Lo-D（ローディ）ブランドの歴史

Lo-D（ローディ）は、日立製作所がかつて展開していたオーディオ機器ブランドで、その名称は「ローディストーション」を略したもので、低歪みを意味します。1960年代から2019年まで活躍し、2024年現在は休止状態ですが、商標は日立グローバルライフソリューションズ株式会社が保持しています。このため、本ブランドは完全に消失したわけではありません。

ブランドの成り立ちと展開

1960年代後半に、高級オーディオや単品オーディオのブランドとして開始されたLo-Dは、日本国内専用であり、海外では「HITACHI」ブランドが展開されていました。1970年代のオーディオブームの中、日立は東芝、NEC、三菱電機などが参入する競争の中で独自の技術力を活かし、様々なオーディオ製品を開発しました。

特筆すべきは、ギャザードエッジスピーカーやパワーMOS FETアンプ、世界初の3ヘッドカセットデッキ豪など、個々の技術革新を推進し、オーディオ業界での存在感を強調しました。これにより、Lo-Dは市場で高く評価されるブランドとしての地位を確立しました。

市場の変化と方針の転換

1980年代半ばになると、音響市場が高級オーディオからポータブルオーディオへとシフトし、ラジカセやヘッドホンステレオが主流となる中で、日立も事業方針を考え直さざるを得なくなりました。多くの総合電機メーカーがオーディオ事業から撤退する中、日立も旧製品のマイナーチェンジや新製品の開発を停止し、1990年代にはOEM供給に移行しました。特に日立が展開するオーディオカタログには、旧DENON製品が掲載されても、Lo-Dブランドの品揃えは減っていきました。

1988年にはCDからカセットテープへの録音編集機能を持つ「ツインエディットコンポ」を発売し、若者層へのアプローチを試みますが、1990年代にはミニコンポのダウンサイジングが流行し、Lo-Dもその波に乗れず、販売は低迷しました。

再び登場とその後

2000年代に入ると、日立はオーディオ事業を休止し、その後Lo-DブランドはHitachi Living Systemsとのダブルネームで継続されましたが、2008年にはCDラジカセの販売を最後に一旦終了しました。しかし、2012年には新たにCDラジカセ「CK-55」が登場し、ブランド名が復活。また、2014年には経営統合があり、日立のオーディオラインナップは一部復活したものの、真のオーディオブランドとしての活動は徐々に制限されていきました。

2019年4月、日立コンシューマ・マーケティング株式会社と日立アプライアンス株式会社が合併し、同年春のカタログからLo-Dブランドは消滅しました。これ以降、日立チェーンストールでの音響製品は、主にソニー製品に寄り添う形となり、オーディオ市場での影響力を失っていくこととなります。

まとめ

Lo-Dは、日立製作所の一時代を築いたブランドであり、音響機器での革新や高品質な製品を提供してきました。その歴史は、オーディオ業界の流れや市場の変化によって大きく形を変えていきましたが、現在も商標として残存している点は、ブランドの影響力の痕跡として興味深いものがあります。

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