Low Pin Count

LPCバス（Low Pin Count Bus）とは

LPCバスは、主にIBM互換パーソナルコンピュータで使用される、低帯域幅デバイスをCPUに接続するためのバス規格です。BIOS ROMやスーパーI/Oチップといった、いわゆるレガシーデバイスとの接続に用いられます。レガシーデバイスの例としては、シリアルポート、パラレルポート、キーボード、マウス、フロッピーディスクコントローラ、そして近年ではTrusted Platform Module（TPM）などが挙げられます。

LPCバスの役割と背景

1998年、インテルは従来のISA（Industry Standard Architecture）バスに代わる規格としてLPCバスを提唱しました。当時、インテルはCPUの高機能化や最新インターフェースの開発に注力しており、特にUSBの普及を推進していました。しかし、多くのユーザーがレガシーデバイスの利用を望み、周辺機器メーカーもUSBへの移行に消極的であったため、インテルはサウスブリッジからのレガシーインターフェース削減と、過渡的な代替バスとしてLPCバスを導入しました。

ISAバスとの違い

ソフトウェアからはISAバスと類似しているものの、物理的な構造は大きく異なります。ISAバスが8.33MHzで動作する16ビットバスであったのに対し、LPCバスは4倍の33.3MHzで動作し、バス幅は1/4の4ビットとなっています。これにより、高速なデータ転送を実現しながら、信号線の数を大幅に削減しています。

LPCバスの利点

LPCバスの主な利点は、使用する信号線がわずか7本であることです。これにより、複雑化するマザーボード上での配線が容易になります。また、LPCインターフェースを採用した集積回路は、ISA対応のチップと比較してピン数を大幅に削減（30本から72本程度）できます。さらに、PCIバスと同じクロックレートを採用することで、システムへの組み込みを容易にしています。

LPCバスの物理構造と信号線

LPCバスは、マザーボード上でのみ使用されることを前提としており、専用のコネクタ規格は存在しません。必須の7本の信号線は、双方向のデータ転送に使用され、そのうち4本はアドレスとデータを多重化して伝送します。残りの3本は制御信号用で、フレーム、リセット、クロック信号が含まれます。特にリセットとクロック信号は、PCIバスのPCIRST#とPCICLKを共有することが可能です。

オプション信号線

LPC仕様では、オプションとして6本の信号線が定義されており、割り込み、DMA、スリープ状態からのシステム起動、電源状態の通知などに使用できます。

データ転送レート

LPCバスのデータ転送レートは、I/O、メモリ、DMA、ファームウェアなど、バスアクセスの種類によって異なりますが、いずれの場合もISAバスよりも高速です。33.3MHzでの一般的なI/O転送レートは約2.56Mbyte/sとなります。

まとめ

LPCバスは、レガシーデバイスをサポートしつつ、低ピン数で実装が容易なバス規格です。ISAバスよりも高速なデータ転送を実現し、マザーボードの設計を簡素化します。現代のコンピュータシステムにおいて、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

関連情報

• - デバイス帯域幅の一覧

外部リンク

• - LPC Interface Specification at Intel
• - Serialized IRQ Support For PCI Systems (.doc形式)
• - Wishbone LPC Host and Peripheral Bridge （オープンソースのLPCコア）

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