M・ジョン・ハリスン

マイケル・ジョン・ハリスン（Michael John Harrison、1945年6月26日 - ）は、イギリスの小説家であり、SF、ファンタジーといったジャンルで広く知られています。彼の作品は、初期のファンタジーから、実験的なSF、そして自伝的な要素を含むものまで多岐にわたります。

ウォリックシャー州ラグビーでウェールズ系の家庭に生まれたハリスンは、1968年から1975年までSF雑誌『ニュー・ワールズ』誌の編集者として活動しました。その後、ピーク・ディストリクトでの生活が、彼の作品に大きな影響を与えました。ロック・クライミングへの関心から生まれた自伝的小説『Climbers』（1989年）は、その代表例と言えるでしょう。

『The Course of the Heart』（1991年）や短編『Empty』（1995年）では、ロンドンとピーク・ディストリクトを舞台に、リリカルな文体と地域への強い印象、リアリズムと神秘主義の対立という特徴的な緊張感が描かれています。

また、マイク・ハリスン名義で、イギリスの著名なクライマー、ロン・フォーセットの代作者を務めたこともあります。マイケル・ムアコックやサイモン・イングスとの共著、サイモン・パメルとのショートムービーの脚本協力など、共同制作も積極的に行っています。ジェーン・ジョンソン（ガブリエル・キング名義）との共著によるアニマルファンタジー四連作『The Wild Road』（1996年）なども知られています。

近年では、バーバラ・キャンベルやケイト・マッキントッシュのパフォーマンスに素材を提供するなど、活動の幅を広げています。デヴォンやウェールズでは、アダム・リヴリーや紀行文作家ジェームズ・ペリンらと共に、風景描写や自叙伝に焦点を当てたクリエイティブ・ライティングの指導も行っています。

1991年からは、『ガーディアン』、『デイリー・テレグラフ』、『タイムズ文芸付録』、『ニューヨーク・タイムズ』などの一般紙で書評家としても活動しています。また、文芸誌『Conjunctions』や日曜紙『インデペンデント・オン・サンデー』、『タイムズ文芸付録』などに短編を掲載するなど、作家活動も継続しています。

代表作としては、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』に影響を与えたとされる《ヴィリコニウム》シリーズ、『ライト』シリーズなどが挙げられます。特に『ライト』は、2003年にジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞を受賞し、『Nova Swing』は2007年にアーサー・C・クラーク賞、フィリップ・K・ディック賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

ハリスンの作品は、SF、ファンタジーの枠を超え、現代文学に大きな影響を与え続けています。

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