M-55 (航空機)

ミャスィーシチェフ M-55 ジオフィジカ

ミャスィーシチェフ M-55 ジオフィジカ（ロシア語: Мясищев M-55 Геофизика）は、高高度偵察を目的として開発されたソビエト連邦の航空機で、NATOコードネームは「ミスティック-B」です。この機体は、V・M・ミャスィーシチェフ記念試作機械製造工場によって設計され、元々は単発機であるM-17から発展を遂げた双発機です。この型の機体には、アメリカのロッキード U-2偵察機と同様の設計思想が採用されています。

開発の背景と目的

1950年代から1960年代、アメリカはソ連や中国の動向を探るため、高高度無人偵察気球の使用を進めていました。これに対抗する形でソ連は、高高度航空機の開発計画を立案し、ミャスィーシチェフがその開発を担当しました。本計画では、空対空ミサイルを装備し、敵の偵察気球を撃墜することを目的としていました。しかし、時代と共にアメリカの偵察手法は進化し、衛星や新たな偵察機に移行していったため、この開発目標は徐々に薄れていきました。

このような背景を受けて、1978年にはM-55の前身となるM-17「ストラトスフェラ」が初めて登場しました。この機体は1982年に初飛行を成功させましたが、やがてアメリカの偵察衛星に探知され、その後の発展型は「ミスティックA」として知られるようになりました。結局、その役割を果たすことはありませんでしたが、高高度での偵察任務には利用され続けました。

M-17は1990年には21,830メートルの高度記録を樹立し、数多くの国際的な記録を打ち立てました。1987年には生産が終了し、その後にM-55の開発が始まりました。初飛行は1988年とされ、冷戦の終結に伴い軍事用途としての開発が減少しましたが、多くの記録を保持し続けました。

機体設計

M-55は、主翼のアスペクト比が10.6という高いデザインを持ち、全幅は37.46メートルでU-2よりも広くなっています。この機体は双胴式で、主翼の中ほどからブームが後方へ延びており、垂直尾翼はそのブームの後端に位置しています。水平尾翼は垂直尾翼の上にあり、エンジンの吸気口は機体の側面に配置されています。

運用と成果

M-55はソビエト連邦空軍により運用され、その後はロシア空軍でも使用されました。この機体は、科学研究のためにいくつかのM-55が現役であり、特に北極の成層圏研究に貢献した例もあります。さらに、アイルランドのQucomhaps社によるM-55の高高度プラットフォームとしての活用計画もあり、10億ドルもの投資が行われました。

要目

• - 乗員: 1名
• - 全長: 22.86 m
• - 全幅: 37.46 m
• - 全高: 4.8 m
• - 空虚重量: 13,995 kg
• - 最大離陸重量: 24,000 kg
• - エンジン: 2 x PS-30-V12 ターボファン
• - 最大速度: 750 km/h
• - 巡航高度: 21,500 m
• - 航続距離: 4,965 km

このように、ミャスィーシチェフ M-55 ジオフィジカは、冷戦時代の航空機開発において重要な役割を果たし、現在もその影響が続いています。

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