M.2

M.2 (エムドットツー)とは

M.2は、コンピュータ内部の拡張カードのフォームファクタと接続端子を定めた規格です。旧称はNGFF(Next Generation Form Factor)でした。mSATAの後継として開発され、より小型で柔軟な設計が可能です。主にSSDなどのストレージデバイスや、Wi-Fi、Bluetoothなどの無線通信モジュールに用いられ、ウルトラブックやタブレットなどの小型デバイスに適しています。

M.2の主な特徴

多様なインターフェース: M.2は、PCI Express、Serial ATA 3.0、USB 3.0といった複数のバスインターフェースに対応しています。これにより、様々な種類のデバイスを接続できます。
小型化と柔軟性: mSATAと比較して、M.2はフットプリントが小さく、カードのサイズを大きく設計できます。これにより、両面に部品を実装するような設計も可能になり、より高密度なデバイスを作ることができます。
高速なデータ転送: PCI Expressレーンを使用することで、SATAよりも高速なデータ転送が可能です。特にNVM Express(NVMe)を使用することで、更なるパフォーマンス向上が期待できます。
多様なフォームファクタ: M.2には、幅や長さが異なる複数のフォームファクタが存在します。これにより、様々なデバイスや用途に合わせて最適なサイズを選択できます。

M.2の機能

M.2拡張カードは、SSD、Wi-Fi、Bluetooth、GPS、NFC、デジタルラジオ、WiGig、WWANなど、多岐にわたる機能を持たせることができます。

対応バス

PCI Express: 最大4つのレーンを使用し、高速なデータ転送を実現します。ストレージデバイス(SSD)などで主に利用されます。
Serial ATA 3.0: 従来のSATA接続をサポートします。主にSSDなどで利用され、AHCIプロトコルで通信します。
USB 3.0: USB接続の周辺機器などをサポートします。

M.2は、4つのPCI Expressレーンと1つのSATA 3.0 6Gbpsポートを1つの端子に備えており、PCI Express機器とSATAストレージ機器をM.2カードとして接続できます。PCI Expressレーンは、ストレージ機器から見て通常のPCI Expressと全く同じように接続できます。

M.2ストレージの論理インターフェース

M.2ストレージ機器は、SATA Expressと同様に、以下の3つの論理インターフェースおよび命令セットのいずれかを使用できます。

1. レガシーSATA:
SATA接続のSSDなどに使用します。
M.2端子のSATA 3.0 6Gbpsポートを使用し、AHCIで機器と通信します。
2. PCI Express上のAHCI:
PCI Express接続のSSDなどに使用します。
PCI Expressレーンを使用し、AHCIで機器と通信します。
AHCIはCPUと外部機器の速度差が大きい頃に開発された規格のため、最高速度ではありませんが、普及しているSATA機器との互換性を確保できます。
3. PCI Express上のNVM Express:
PCI Express接続のSSDなどに使用します。
PCI Expressレーンを使用し、NVMeで機器と通信します。
NVMeは低レイテンシと並列性を重視して開発されたストレージインターフェースで、近年のCPU、プラットフォーム、アプリケーションの並列性を活かすことができます。

フォームファクタと端子

M.2は、mSATAの後継ですが、フォームファクタや端子の互換性はありません。mSATAは既存のMini PCI Expressのフォームファクタと端子規格を採用しましたが、M.2はフットプリントを小さく、拡張カードのサイズを大きくできるように設計されました。両面に部品を実装できるため、M.2 SSDはmSATA SSDに比べて容量を倍にすることができます。

M.2カードは直方体で、短辺に端子があります。端子は0.5mmピッチで75のポジションと最大67のピンを持ち、基板の両面にまたがっています。端子の反対側の中央には、半円形のネジ穴があります。端子の各ピンは最大50V、0.5Aに耐え、端子自体は最大60回の抜き差しに耐えます。

M.2機器のサイズは、幅が12、16、22、30mmの4種類、長さが16、26、30、38、42、60、80、110mmの8種類があります。

M.2カードは、端子を介してホスト機器の回路に接続され、ネジ1本で固定されます。カード基板上の部品は両面に実装できます。タイプによって最大の厚みが異なり、最大で片面ごとに1.5mmです。ホスト側の端子は、片面カードと両面カードで異なるものが使われます。

M.2のキー(ノッチ)

M.2端子は75個のポジションを持ちますが、全てのピンを同時に使用するわけではありません。いくつかのピンを取り除くことで、機器のタイプを示します（ノッチ）。ホスト側は端子の形状を調整することで、対応するM.2機器のタイプを示します。

現在、ホスト側の端子にはA、B、E、Mの4種類が多く使用されています。

BとMの両方の位置に切り欠きを持つM.2カード: 2つのPCIeレーンを使用でき、最大の互換性があります。
* Mの位置のみに切り欠きを持つM.2カード: 互換性を犠牲にして4つのPCIeレーンを使用できます。

どちらの場合も、ホスト側が対応していれば、SATAやUSB 3.0で接続できます。

実際の機器では、PCI Express 4レーンを使用するSSDではM、PCI Express 2レーンまたはSATA接続のSSDではBとMのKey IDが割り当てられています。しかし、ホスト側は全てのインターフェースに対応しているとは限らず、MキーでもPCIeのみ、BキーでもSATAのみの場合があります。

従来のMini PCI ExpressではPCIeレーンを1つしか利用できませんでしたが、M.2では最大4レーンまで使用可能になり、Wi-FiやWiGigを1枚に収めた拡張カードが登場するなど、デバイスの小型化に貢献しています。

M.2機器のタイプは、`Type WWLL-HH-K-K`や`Type WWLL-HH-K`といったコードで表されます。ここで、WWは幅、LLは長さ（mm）、HHは両面/片面と厚み、K-Kは端子の切り欠き（Key ID）の種類を表します。

PCI Expressのリビジョン

M.2フォームファクタでは、PCIeの有無と最大レーン数のみを規定し、リビジョンは規定しません。一部の製品メーカーでは、PCI Express Gen3に対応する製品に「Hyper M.2」や「Ultra M.2」といった独自の呼称を使用することがありますが、これらはM.2フォームファクタとは無関係です。

まとめ

M.2は、小型で高性能なデバイスを開発するために不可欠なインターフェース規格です。SSDだけでなく、様々な拡張カードに対応しており、今後のコンピューターテクノロジーの発展に大きく貢献するでしょう。

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