M1 120mm高射砲

M1 120mm高射砲

M1 120mm高射砲は、アメリカ合衆国で開発された超重高射砲であり、その長大な射高から「成層圏の大砲」とも呼ばれました。主に対空防御の要として固定配備されましたが、牽引式としても運用可能でした。

開発と運用

1944年から運用が開始され、より小型なM2 90mm高射砲を補完する役割を担いました。第二次世界大戦および朝鮮戦争に投入されましたが、地対空ミサイルの登場により、1954年から徐々に退役が進み、1960年にはその役目を終えました。

歴史

アメリカ陸軍における120mm砲の開発は、第一次世界大戦終結後に始まりました。1924年には試作型が完成しましたが、重量とコストの問題から開発は遅れました。しかし、1938年に陸軍は対空兵器の必要性を再認識し、重高射砲と超重高射砲の開発を決定しました。前者はM1 90mm高射砲が採用され、後者には新開発の八輪式砲架を備えた120mm砲が選ばれ、1940年に「4.7インチ M1」として制式化されました。

M1 120mm高射砲は、1個中隊あたり4門で構成され、サーチライト、SCR-268対空レーダー（後にSCR-584に改良）、M10射撃統制装置、M4計算機と連携し、自動制御が可能でした。牽引にはM6トラクターが使用されました。

実戦と冷戦

M1 120mm高射砲は、第二次世界大戦後半の1944年から配備されました。第513高射砲兵大隊が1945年2月にフィリピンへ展開しましたが、敵との交戦はありませんでした。冷戦時代には、ソ連のTu-4爆撃機などから核兵器製造施設、主要工業地域、戦略空軍基地、大都市などの重要目標を防衛するために配備されました。陸軍防空司令部(ARAACOM)の下に、この砲を装備した44個の常備高射砲兵大隊と22個の州兵高射砲兵大隊が編成され、7個の高射砲兵旅団と20個の高射砲兵群が組織されました。また、スーセントマリー運河の防衛のために、カナダの2個高射砲兵大隊もこの砲を装備していました。これらの砲は、AN/CPS-5レーダーを装備したラッシュアップレーダーネットワークによって管制されていました。

退役

1954年にMIM-3 ナイキエイジャックス地対空ミサイルの配備が開始されると、M1 120mm高射砲は射程不足と判断され、徐々に退役が進みました。1957年にソ連が初のICBMであるR-7を配備したこともあり、1960年1月には州兵部隊を含むすべての部隊から退役し、配備されていた部隊はナイキミサイルに装備を更新するか、廃止されました。

同クラスの高射砲

12.8 cm FlaK 40
KS-30 130mm高射砲
三式十二糎高射砲

登場作品

『極地からの怪物 大カマキリの脅威』：巨大カマキリ迎撃のため、M1 90mm高射砲と共にワシントンD.C.に展開。

出典

TM 9-2300 Standard Artillery and Fire Control Materiel dated 1944
TM 9-380
SNL D-32

関連項目

高射砲
* 対空砲

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